保険適用で白い歯を手にいれる(保険ですべての歯が白くできるようになりました)
CAD/CAM(キャドキャム)とは
CAD/CAMシステムは、患者さんの歯型を3Dカメラでスキャンし、そのデータをもとにコンピューターが被せ物を設計し、3次元切削加工機が歯に適したブロックを削って被せ物や詰め物を製作するデジタル技術を利用したシステムです。
(CAD/CAMはComputer Aided Design/Computer Aided Manufactureの頭文字)
数年前までは、保険が適用されていませんでしたが、最近の保険ルール改正により、ほとんどの歯に対してCAD/CAMシステムが利用可能になりました。
ただし、CAD/CAMシステムは、ハイブリッドレジンと呼ばれる硬い樹脂が素材として使用されており、天然の歯やジルコニア、セラミックスと比較して強度が劣るため、全ての歯科治療のケースに適しているわけではありません。
2023年12月から、先進医療のため保険適用外であったCAD/CAM冠(キャドキャム冠)が保険適用となり、これは患者にとって大きなメリットとなりました。
2023年11月までは一番奥の歯(前から7番目の大臼歯)が4本そろっていれば、その手前の6番目までは保険でも白い歯が入れられましたが、2023年12月以降、7番目の歯も白い歯が保険適用となりました。
※2023年12月から「PEEK材」という高機能プラスチックが、奥歯の被せ物の素材として保険で使用できるようになりました。
保険適用では奥歯の詰め物(インレー)と被せ物(クラウン)は今までは金属しか使用できませんでしたが、現在は「CAD/CAMインレー」「CAD/CAM冠」という白い修復物が保険適用となりました。
CAD/CAM冠(キャドキャム冠)の白い歯はどこに適用する?
2020年9月1日の改定により、歯のほとんどすべてについて、保険が適用される範囲でCAD/CAM冠(キャドキャム冠)を入れることができるようになりました。これは上下の第一小臼歯、第二小臼歯、および上下の前歯(中切歯、側切歯、犬歯)に適用されます。具体的には、上下の第一小臼歯から第一大臼歯(中央から数えて4番目から6番目の歯)までが対象となります。
CAD/CAM冠(キャドキャム冠)インレー、つまり部分的な詰め物として知られるものも、2022年4月からは保険診療で行うことができるようになりました。さらに、2023年12月1日より新たにCAD/CAM冠大臼歯材料が保険適用となりました。(一番後の歯と親知らずに使える材料が認められました)
永久歯は通常で28本、親知らず(第三大臼歯)を含めると32本になります。
歯科診療では中切歯から大三大臼歯に向かって順に1番~8番という番号で略して呼ばれます。
【補足】 従来から保険診療で用いられた白い歯の種類
「コンポジットレジン(CR)」と「硬質レジン前装冠」があります。
CAD/CAMインレー・CAD/CAM冠も保険適用の白い歯に加わっています。
コンポジットレジン(CR)
歯科用のプラスチック、コンポジットレジンには、ペーストタイプとフロータイプの2つの種類があります。最初は柔らかいので、複雑なむし歯の穴にもしっかりと流し込むことができるのが特徴です。ただし、強度がやや劣っているため、大きなむし歯の治療に使用すると、噛む際に割れる可能性があります。基本的には小さなむし歯の治療に向いており、これによりコンポジットレジンは、保険が適用される白い詰め物として使われます。
硬質レジン前装冠
犬歯から犬歯までの前歯に使われる被せ物は、金属がベースとなっています。ただし、見た目の美しさを考慮して、表面の見える部分には白いレジン(プラスチック)が貼りつけられています。
CAD/CAMインレーとCAD/CAM冠の違い
CAD/CAM冠(クラウン)
- 以前入れた銀歯を白くしたい
- 金属ではないので、金属アレルギーが起こりにくい
- 銀歯による歯ぐきへの変色が心配、または気になる
- 口を開けた時に奥の銀歯が目立つ
- 天然の歯の硬さに近いため、かみに合う歯にダメージを与えにくい
CAD/CAMインレー
- 昔詰めた銀歯が外れてしまった
- メタルフリーの詰め物を低価格で入れたい
- 金属アレルギーに対する不安がある
銀歯、CAD/CAM冠とセラミックの比較
銀歯 | CAD/CAM冠 | セラミック | |
見た目 | × | ⚪︎ | ◎ |
金属アレルギー | × | ◎ | ◎ |
保険適用 | ⚪︎ | ⚪︎条件あり | × |
耐久性(強さ) | ◎ | △ | ◎ |
保険適用の白い被せ物(CAD/CAM冠)の適用条件
2023年11月30日まで、大臼歯6番の歯を保険で白い歯にするには、「上下左右の7番が4本とも残存し、左右の咬合支持があること」が条件でした。
しかし、2023年12月1日以降、新たにCAD/CAM冠用大臼歯材料(PEEK:ピーク)を使用する場合、この条件を満たさなくても、大臼歯(6・7・8番)に対して「保険で白い歯への治療」が可能になりました(※被せ物(クラウン)に限ります。詰め物(インレー)は条件外です)。
CAD/CAM冠(キャドキャム冠)はどこの歯医者さんでも治療できる?
CAD/CAM冠(キャドキャム冠)は、全ての歯科医院で提供されているわけではありません。
CAD/CAM冠を導入するには、厚生労働局への申請が必要です。
オーラルクリニックエクラでは、その申請を行い、保険が適用される範囲でCAD/CAM(キャドキャム)冠を取り扱うことができます。銀歯に不満を抱えている方や、以前に治療を受けた銀歯が気になる方は、お気軽にご相談ください。
自費の高い白い歯を選ぶ必要はない?!
保険適用の白い歯と自費で入手する白い歯では、使用される素材の特性や強度が本質的に異なります。
保険適用の白い歯は、自費の歯と比べて物性が劣っています。そのため、耐久性が低く、定期的なメンテナンスや再作成が必要となります。
一方で、自費で取り付けるセラミックの歯は優れた耐久性を備え、長期間使用しても変色や劣化が生じにくいです。
自費の白い歯(セラミック)の方がより長持ち
自費の白い歯は、その「コストがかかる」という点が課題となりますが、基本的には詰め物や被せ物など少ない治療で長持ちするものを選ぶことが重要だと考えます。
何度も詰め物や被せ物を作り直すことは、都度歯を削る必要が生じるため、治療によるダメージも大きくなります。
当医院で白い歯に関して最初にセラミックを勧める理由も、1回の治療で長期間持続するものを選ぶことで、歯にかかる負担が少なくなる理由からです。
コスト面をクリアできれば「セラミック」の白い歯がおすすめです。
保険診療においても、以前は主流だった銀歯が現在では白いものに変わりつつあります。
銀歯は見た目の問題だけでなく、アレルギーなど健康への影響も心配されるため、保険の範囲でも金属ではなく白い素材をおすすめしたいと考えています。
一方で、プラスチックは金属よりも強度が劣るため、将来的な劣化や破損のリスクも理解しておく必要があります。
この意味で、セラミックは体に優しく、さらに強度もあるという点で、両者の良い点を兼ね備えた素材と言えると思います。
まとめ
いままでは奥歯に白い詰め物・被せ物を希望する場合、選択できる素材が自費診療のものに限られていました。
しかし、近年は条件次第で、保険でも白い歯を選ぶことができるようになりました。
一方で、自費のセラミックと比較すると、耐久性が劣ることや、破損や劣化による再治療の可能性があることを事前によく理解しておく必要があります。詰め物・被せ物の素材を選ぶ際には、「費用が安い」などの短期的なメリットだけでなく、長期的なメリット・デメリットも考慮しながら検討いただきたいと思います。