1口を開けたり閉じたりしたときに、「パキパキ」や「カクッ」と音がなったりして違和感を覚えたことがある方も多いと思います。
そのような症状を顎関節症(がくかんせつしょう)といいます。
顎関節症(がくかんせつしょう)という言葉はみなさんも聞いたことがあると思いますが、
じつは、顎関節症(がくかんせつしょう)は、生涯で2人に1人は経験すると言われるほど多くの方が一度は悩まされる症状です。
顎関節症とは
そもそも顎関節症とは、あごの関節周りに発生する症状の総称のことで、その症状にはいろいろあります。
耳の前辺りに手を当てて口を開けたり、閉じたりしたときに動いているのがあご関節ですが、
このあご関節や、あごの関節まわりが痛んだり、口を充分に開けない、または、閉じれないなどの症状や、
痛みはないものの、口を開けたり閉めたりした際に、「ポキポキ」と音がしたりするという症状の場合もあります。
音は他にも「カクッ」っと鳴ったり、「パキパキ」となったりなどいろいろあります。
肩や首、腰などを回した際にも音が鳴ることはありますが、耳の近くに関節があるため、他の部分よりも気になってしまう方は多いと思います。
音が鳴るのは、あごの関節のクッションのような役割を果たしているものがずれてしまっている事が原因ですが、軽度であれば自然に良くなることもあります。
顎関節症の種類
顎関節症はいろいろな症状があると申し上げましたが、種類としては主に以下のう様なものがあります。
・顎関節症Ⅰ型:咀嚼筋障害(そしゃくきんつうしょうがい)
あごの周囲の筋肉痛や痙攣などで、あごを動かしたときに、こめかみや頬の筋肉などが痛む状態で、「ポキポキ」と音がなるなどの症状はしません。
・顎関節症Ⅱ型:関節包・靱帯障害(かんせつほう・じんたいそんがい)
歯ぎしりや、食いしばりによって炎症などが起こる症状で、あごの関節の周囲に痛みが発生しますが、「ポキポキ」と音がなるなどの症状はしません。
・顎関節症Ⅲ型:関節円板障害(えんばんしょうがい)
関節円板(あごの関節の中のクッションのようなもの)がずれたり、変形したりするものです。
症状は、Ⅲa型から始まり「カクッ」「ポキポキ」「パキパキ」などの音がでる場合が多いです。
症状が進行するとⅢb型になり、口を開けたり閉めたりするときに痛みが強くなります。
Ⅲa型(復位生)
口を開けると関節円板(クッション)が正常な位置に戻る状態
Ⅲa型(非復位生)
口を開けても関節円板(クッション)が正常な位置に戻らない状態
・ 顎関節症Ⅳ型:変形性顎関節症(へんけいせいがくかんせつしょう)
あごの関節に負担がかかった結果、関節が変形してしまったものです。
あごを動かすことで痛みがあり、「ガリガリ」というような音が出る場合もあります。
Ⅳ型は症状だけでは診断が困難ですので、レントゲンで骨の変形がないか調べる必要があります。
顎関節症の原因
顎関節症は、その症状もいろいろありますが、原因もいろいろあります。
・精神的なストレス
ストレスにより緊張状態が続くことで、筋肉も緊張して、あごの周辺に負担がかかります。
・睡眠時の状態
高すぎる枕を使っている場合や、うつ伏せ寝等の方は、睡眠時にあごの周辺に負担がかかりやすくなります。
・生活習慣
ガムを噛みすぎたり、硬いものを噛むことによるあごの酷使。
また、スポーツなどでは強く食いしばることが原因で症状を引き起こす場合もあります。
・クセによる原因
くちびるや頬の内側をかむ癖や、歯ぎしり、頬杖(ほおずえ)をつく癖、猫背等の不良姿勢が原因となる場合があります。
・噛み合わせが悪い
虫歯の治療などの際の被せ物が高すぎたりした場合、かみ合わせが悪くなり顎関節症の症状を引き起こす場合があります。
治療方法
治療はスプリント療法が一般的です。
スプリントは、プラスチック製のマウスピースのようなもので、睡眠の際に使用することで、無意識のかみこみで生じるあごの関節や筋肉への負担を軽減させる方法です。
他には、レーザーを使った治療もあります。
あごの関節の痛みが発生している部分にレーザーを照射することで、筋肉や関節に付着した老廃物を除去し、血液やリンパ液の循環を高めていきます。
顎関節の痛みを感じる部位にレーザーを照射して筋肉や顎関節に蓄積した老廃物を排除し血液やリンパ液の循環を高めます。
血行が良くなることで、筋肉の緊張がほぐれ痛みなどの症状の緩和に繋がります。
また、口腔筋機能療法(MFT)というトレーニングを行う場合もあります。
MFT(口腔筋機能療法)
MFTというのは、口の周りの筋肉の正しいバランスを作り出し、維持することを目的とした治療方法です。
MFTでは以下のようなトレーニングを行います。
50種類以上もあるトレーニングの中からそれぞれの状態に応じて、トレーニングメニューを作り、ご自宅等でも行っていただきます。
・口唇と舌の筋肉のトレーニング
・咬む時に使う筋肉のトレーニング
・口唇や舌を正しい位置に習慣化するためのトレーニング
・正しく咬んで飲み込むトレーニング
余談ですが、MFTは美容に良いという話があります。
口の周りには筋肉は、表情を作るための筋肉の約70%が集まっています。
MFTで口の周りの筋肉を鍛えることが、結果的にフェイスラインを引き締め、小顔づくりや頬のたるみの除去などにも効果があるといわれています。
まとめ
顎関節症は、普段の何気ないクセや生活習慣が原因となっている場合がおおいです。
あごに負担のかかる悪いクセなどに注意した生活をおくることで、症状は自然に収まることもあります。
痛みが激しい場合や繰り返す場合は、歯科医院を受診してみましょう。