- フッ素だけでは、歯は強くならない
『虫歯予防にはフッ素がいい』
最近では、歯みがき粉にフッ素が入ったものも多いですし、小さいお子さんがおられる方なら、保健所でフッ素を塗ってもらったり、幼稚園や保育園などでフッ素入の水溶液でうがいをしていたりなど、フッ素が歯に良いと聞いたことがあるという方も多いと思います。
フッ素には、歯のカルシウムイオンやリン酸イオンなどが溶け出す『脱灰』を抑制するとともに、
溶け出したカルシウムイオンやリン酸イオンなどを取り込んで再び歯に戻して修復する『再石灰化』を促進する効果があります。
しかし、フッ素自体が歯を強くしているわけではなく、再石灰化のためには、材料となるカルシウムイオンやリン酸イオンが必須です。
歯を強くするためには、カルシウムイオンやリン酸イオンというものについても考える必要があります。
むし歯の原因は酸?
歯の主成分は、ハイドロキシアパタイトという『リン酸カルシウム』です。
歯のエナメル質の97%、象牙質の70%がこのハイドロキシアパタイトという成分でできています。
非常に硬い性質がありますが、『酸に弱い』という弱点もあります。
歯垢の中にいるむし歯菌は、砂糖やブドウ糖を分解して酸に変えます。
その結果、酸に弱いハイドロキシアパタイトが急激に溶け出してしまい、むし歯の原因となります。
歯の成分が溶け出すことを『脱灰』といいいますが、脱灰の量が少ない状態であれば、
カルシウムイオンやリン酸イオンを歯に戻して修復する『再石灰化』によってバランスが保たれますが、
このバランスが崩れて脱灰のほうが多くなってしまうと、歯に穴が空き始めます。
むし歯にならないように守っているのは唾液
唾液には、汚れを洗い流す自浄作用や、口の中の菌が増殖するのを抑える抗菌作用など、さまざまな力があることは知られていますが、歯の再石灰化にも重要な役割を果たしています。
歯の再石灰化には、カルシウムなどが必要ですが、歯には血管がありませんので、血液中からカルシウムなどを補給することはできません。
そこで、唾液中に含まれるリン酸とカルシウムを使って、歯の再石灰化を行います。
歯の再石灰化に必要なカルシウムやリン酸は唾液からしか補給できないため、
むし歯予防にとっても、唾液はとても重要なものとなります。
唾液の量を増やす方法
唾液を分泌させる方法はいくつかあります。
1・『水分補給』
体内の水分量が減れば、唾液の量も減ってしまいます。
適度に水分を補給して、お口の乾燥を防いでください。
2・『口をよく動かす』
唾液は口を動かすことで分泌されます。
しゃべることで口や舌を動かしたり、ガムを噛んだり、食事の際によく噛むことで唾液は分泌されます。
3・唾液腺をマッサージする
唾液を作る唾液腺は3つありますが、
その中でもサラサラした唾液を作る耳下線をマッサージしてあげることで、唾液の分泌を促すことができます。
耳下線は耳たぶの前ぐらいの所にあります。
ここを指で軽く押しながらぐるぐると回すようにマッサージしてみてください。
歯の健康にはガムを噛むと良い
歯の再石灰化を促すためには、ガムを噛むこともおすすめです。
ガムを噛む咀嚼によって唾液が分泌され、ガムの甘みによって味覚を刺激する事でも唾液が分泌されます。
その際の分泌した唾液の効果によって歯の再石灰化のを行います。
最近のガムには、殆どと言っていいほどキシリトールが入っているので、みなさんもキシリトールという言葉はよく目にすると思いますが、
このキシリトールというのは、砂糖などの代わりに使用する代替甘味料です。
砂糖などの糖類は、むし歯菌が糖を分解して『酸』を作ってしまいますが、
キシリトールは砂糖などと違って、むし歯菌に酸を作らせないため、酸によって歯の主成分であるハイドロキシアパタイト溶け出す『脱灰』の原因になりません。
また、砂糖などの糖類は、むし歯菌に取り込まれるとむし歯菌の栄養になってしまいますが、キシリトールの場合は、むし歯菌に取り込まれてもむし歯菌の栄養になりません。
また、取り込まれた後にリン酸化して『キシリトール5リン酸』になり、むし歯菌に代謝阻害を起こさせます。
むし歯菌が代謝障害を起こすことによって、むし歯菌が減少する効果や、酸の生産も減少する効果があります。
キシリトールガムを噛むことは、この様な理由から歯の健康に良いと言われていますが、
しかしこれは、いわば『第2世代のガム』です。
歯の健康に良いガムも、今や『第3世代』とよばれる物まであります。
第3世代のガム『POs-Ca F(ポスカ・エフ)』
キシリトール入のガムが第1世代とすれば、
第2世代はキリリトール入という点に加え、シュガーレスにすることで、酸を作らせずに、酸によって脱灰した歯の再石灰化を促進してくれるガムという感じです。
これよりもさらに新しいのが『第3世代のガム』POs-Ca F(ポスカ・エフ)というガムです。
POs-Ca F(ポスカ・エフ)のすごい所は、再石灰化の促進にさらにプラスして、歯の主成分である『ハイドロキシアパタイトを再結晶化』してくれるガムになりました。
ハイドロキシアパタイトを再結晶化するということは、虫歯予防どころか、初期段階のむし歯を治す効果があるということです。
ハイドロキシアパタイトという物質を1つ構成するためには、カルシウムが10個とリン6個、水酸化物イオンが2個必要となります。
歯のエナメル質の97%、象牙質の70%がこのハイドロキシアパタイトという成分でできています。
歯を修復するために必要なカルシウムやリン酸は、唾液に含まれていますが、
残念ながら、唾液にはリン酸の比率に対してカルシウムが足りていません。
Os-Ca F(ポスカ・エフ)に含まれているリン酸化オリゴ糖カルシウムは、カルシウムを唾液中に溶かし、カルシウムとリンの比率を理想の割合に近づける作用があります。
それにより、唾液中のカルシウムのとリン酸の比率をハイドロキシアパタイトの比率と同じ『10対6』の比率に近づけて、最も歯に吸収されやすい状態を作ることができます。
今のところ、第3世代のガムと言えるのはこのPOs-Ca(ポスカ)のシリーズのみで、
POs-Ca(ポスカ)と、ポスカにフッ素を配合したOs-Ca F(ポスカ・エフ)という商品があります。
ガムとしては初めて特保(特定保健用食品)を取った商品で、
WHO世界保健機構で唯一エビデンスがあるガムとして認められた予防ガムとして知られています。
歯科専用ガムですので、少し前までは歯科医院でしか購入することができなかったのですが、
最近では、Amazonは楽天市場などのネット通販でも販売している所がありますので、是非試してみてください。
まとめ
虫歯予防にはたしかにフッ素は効果的ですが、歯の健康を噛んがる場合は、歯の材料となるカルシウムイオンとリン酸イオンにも目を向ける必要があります。
本当に効果のあるガムを求めるのであれば、POs-Ca F(ポスカ・エフ)はおすすめです。
普通のキシリトールガムでも、もちろん良いのですが、コンビニなどで販売されているキシリトールガムには、キシリトールの含有率が少なかったりするものも結構ありますので、
選ぶ際は、糖類0gで、キシリトール含有率が50%以上のものを選ぶと良いと思います。
ちなみにキシリトールの割合は、以下の方法で計算できます。
パッケージの裏の成分表などから計算できますので、見てみてください。
【キシリトールの量(グラム)】÷【炭水化物の量(グラム)】×【100】=キシリトールの割合(パーセント)
※画像の場合は、キシリトール11.6g÷炭水化物13.7g✕100=84.6%となります。