予防歯科(メンテナンス)

子供の歯について知りたい。子供の歯を強くしたい。生後10ヶ月〜1歳にすると良い歯のお手入れ

生後10ヶ月~1年ほどすると、乳側切歯(にゅうそくせっし)が生えてくる時期です。
早い子なら、もう乳犬歯(にゅうけんし)が生えて来ているかもしれません。

そこで、そろそろ考えたいのが『虫歯予防について』です。
むし歯菌は、成人であれば、ほとんどの方が持っている菌で、一度感染してしまうと、完全に無くす事はほぼ不可能なため、今現在むし歯でがない方でも、むし歯菌を持っています。

しかし、実は、生まれたばかりの赤ちゃんには、むし歯菌はいません。

ではなぜ、多くの人がむし歯を経験することになるかと言うと、むし歯菌を持った身近な人から感染してしまうからです。

むし歯菌は唾液から感染するため、むし歯菌を持ったママさんやパパさんと、お箸やフォーク、コップなどの食器を共有したり、スキンシップのキスをするなどの行為によって赤ちゃんに感染しまうと言うのが感染経路として多いです。

むし歯菌は硬い所に定着する性質があるため、歯が無いうちは感染しても菌が定着しにくいですが、
だんだんと歯が生え揃ってくるこの時期からは、それまでの歯が無いときには、感染しても定着しにくかった『むし歯菌』が定着しやすくなってくる時期でもあります。

フッ素で虫歯予防

『虫歯予防にはフッ素が良い』
CMなんかでもやっていたり、保健所などでフッ素を歯に塗ってもらったなど、聞いたことがある方も多いかもしれません。
では、なぜ虫歯予防にフッ素が良いのでしょうか。

虫歯予防にフッ素が有効である理由は主に3つあります。

1.再石灰化

むし歯というのは、かんたんに言えば、『歯垢の中の細菌が作る酸によって歯が溶かされる病気』です。

歯のエナメル質の成分であるカルシウムが、むし歯菌が作る酸によって、溶けていきます。
酸によって歯が溶けますが、唾液の働きによって溶け出した成分は元の状態に戻っていきます。
この働きのことを再石灰化というのですが、このときに唾液の中に少しのフッ素イオンが存在することによって、石灰化を促進する効果があります。

2.歯質強化

もともと歯質の主成分は、ハイドロキシアパタイトという結晶ですが、この結晶は酸に弱く壊れやす結晶です。
歯の再石灰化の際に、ハイドロキシアパタイトがフッ化物に触れることで、歯のエナメル質がフルオロアパタイトという、酸に強い結晶になります。
むし歯は、酸が歯を溶かす病気ですので、フッ化物により歯のエナメル質が酸に強い結晶になることで、むし歯になりにくい歯になります。

3.むし歯菌の抑制

フッ素イオンには、むし歯菌の働きを抑制する効果があります。
むし歯菌が作り出す酸の量を抑えることができるので、酸によって歯が溶け出す可能性も低くなり、むし歯の予防になります。

フッ素を使用したむし歯予防方法

フッ素を使用した虫歯予防は、主に歯科医院での『フッ素塗布』です。
特に、生えたばかりの歯は、まだ弱いのでフッ素塗布が有効です。
通院は年に2~3回ほどで、治療費は保険適応の場合は、300円~600円程度です。
保険適応外の場合でも、1回3,000円程となります。

また、歯科医院での処置に比べれば効果は薄くなりますが、
家庭でできる方法として、フッ素入りの歯磨き粉や、歯科用のフッ素スプレーなんかも薬局などで市販されています。

身近な大人がご自身の虫歯菌を減らす努力をする

赤ちゃんをむし歯から守るためには、お母さんやお父さんなど、身近な大人たちの口腔内の健康を保つことも重要です。
中でも、赤ちゃんと一番接する時間が長いのは、やはりお母さんだと思います。
そのため、むし歯菌が感染してしまう経路も、やはりお母さんから赤ちゃんへの母子感染が一番多い傾向にあります。

赤ちゃんへの感染を防ぐためには、まずはお母さんのお口の中のむし歯菌を減らす努力をすることが大切です。

むし歯菌を減らすためには、普段の歯みがきや、歯間ブラシ、デンタルフロスを使用したケアの他に、甘味料として『キシリトール100%使用のガム』を噛むのがオススメです。

キシリトール100%使用のガムは、昔は歯科医院などでしか手に入りませんでしが、
最近ではインターネットショッピングなどでも販売されています。

『歯科用 キシリトール100%ガム』などで検索していただくと、すぐに見つかると思います。
キシリトール100%使用のガムは、大体の場合パッケージに、『甘味料としてキシリトール100%使用』などの表示がありますので見てみてください。

金額に関しても、普通のキシリトールガムと比べて何倍も高いという様なものではなく、
100~200円ほどの違いです。

コンビニなどでもキシリトールガムは販売していますが、コンビニ等で販売されているキシリトールガムは、キシリトールが50%未満などのものが多いです。
キシリトールが50%入っていれば十分な気もすると思うかもしれませんが、残りの甘味料は砂糖などを使用しているわけで、
その砂糖が歯垢の中で『酸』を作る材料になってしまいます。

前項でも触れましたが、むし歯は、かんたんに言えば『歯垢の中の細菌が作る酸によって歯が溶かされる病気』です。

その、歯垢の中の細菌が酸を作る順序ですが、
まず、砂糖が口の中に入ってくると、むし歯菌が活発になり歯垢を作ります。
そして、歯垢の中で酸を作ります。

例えば、キシリトールが95%、残りの5%の砂糖というガムがあったとして、わずか5%砂糖が含まれるだけで、pH値が危険なレベルにまで低下(酸性側に振れる)します。

※ pH(ピーエッチまたはペーハー)値は、その液体が酸性なのかアルカリ性なのかを表すものです。

しかし、『キシリトールは、歯垢で酸を作る材料とならない甘味料』です。
つまり、『キシリトール以外の甘味料が入っていない』キシリトール100%使用のガムは、酸を作る材料が含まれないガムということになります。

そのため、ガムは甘味料にキシリトール100%使用のガムを噛むことがおすすめです。

ここまでを聞くと『酸を作る材料を口に入れたくないのであれば、そもそもガムを噛まなければ良いのでは?』とお思いの方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、ガムは噛んだほうが良いです。
理由は、ガムを噛む事によって『唾液が多く分泌』されるからです。

唾液には様々な機能があります。
むし歯に関係する機能だけでも、歯や歯間についた歯垢や食べかすを洗い流す『自浄作用』や、
口の中の細菌の増殖を抑える『抗菌作用』、
食事などにより低くなった(酸性側に振れた)pH値を中和させる『pH緩衝作用』、
溶けかかった歯の表面を修復する『再石灰化作用』があります。

キシリトール100%のガムを噛むことには、pH値を下げずに、唾液の分泌を促すという効果があるため、ガムを噛んだほうが虫歯予防には効果があります。

ガムを噛む目安としては、1日5粒ほど、毎食後プラス寝る前などに1回5分以上噛むと良いです。

まとめ

乳歯や生えたばかりの歯は、成人の健康な歯に比べて弱いため、フッ素によって、歯を強化することで虫歯予防になります。
また、フッ素にはむし歯菌の活動を抑制する働きもあるため、虫歯予防には効果的です。
決して高い治療ではないため、ぜひご検討されてみてください。

また、むし歯菌の感染を防ぐためには、赤ちゃんだけではなく、身近な大人の方自身の口腔内のケアもとても大切です。

この記事をむし歯の撃退に役立てていただければ幸いです。

医療法人 エクラ会 歯科オーラルクリニック エクラ
  • この記事を書いた人
  • 最新記事
Mia(ミア)

Mia

歯科助手をしながら、歯科衛生士を目指しているMia(ミア)です。 人の役に立てるような仕事に就きたい、手に職を付けたいという思いから歯科衛生士を目指しています。患者さんからたくさん「ありがとう」と言ってもらえるように頑張っています。

-予防歯科(メンテナンス)