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キシリトールって何?口腔ケアに効果的なエッセンスの正体とは?


先日の記事で、ガムのお話をしたと思います。
咀嚼することができない子供たちが多い中で、ガムには噛むことで顎が鍛えられ、歯並びが良くなったり口の筋肉を鍛えることができるメリットがたくさんあります。

ガムには根本的に歯に健康にいいとされていることがたくさんあります。

その一つが『キシリトール』です。

今回はこのキシリトールの特徴と、歯になぜいいのかとされているかを中心にお話しようと思います。

キシリトールって何?



キシリトールとは、いちごやほうれんそうなどの果物や野菜にも含まれる糖アルコールという物質の一種です。

糖アルコールの中でも特に甘みが強く、砂糖の主成分であるショ糖に似たまろやかな甘みがあることが特徴とされています。

チューインガムなどに利用されているキシリトールは、シラカバの幹やとうもろこしの芯を加工してつくられており、低カロリー甘味料としても有名です。

甘味料なのになぜ?虫歯にならないの?

甘味料として利用されているところで虫歯を助長しやすいと認識されやすいキシリトールですが、
むし歯予防効果の最終的な判断は、長期的な臨床研究で証明されなければならないため、一概にキシリトールの甘みが虫歯を引き起こすとは限らないのです。

キシリトールは実は人間の肝臓においても1日に5~15g程度生成されています。主に肝臓で代謝された後、エネルギー源となるグリコーゲンとして貯蔵されたり、二酸化炭素や水に分解されていきます。

キシリトールは砂糖と比べてカロリーが25%低いにもかかわらず、砂糖とほぼ同じ甘さを持っており、熱を吸収する際の反応が砂糖の約8倍あるため清涼感があります。

キシリトール配合のチューインガムの清涼感は、この反応によるものです。

1975年(昭和50年)に世界で初めて、キシリトールのむし歯予防効果を証明する研究が発表されましたが、1980年代以降は、WHO(世界保健機構)が主宰した研究を始め、日本を含めて多くの研究結果が報告されています。

むし歯予防効果を示す数値は各々の研究で異なりますが、キシリトールを使用した場合、30~80%の確率でむし歯の発生を防いでいます。

虫歯予防効果を証明。キシリトールとソルビトール。

多くの長期的な臨床研究で、むし歯予防効果が証明された甘味料は、キシリトールとソルビトールだけと言われています。

さらに、ソルビトールよりもキシリトールの方がむし歯予防効果が優れていることも証明されています。


キシリトールの虫歯予防の効果について

では、キシリトールのどんな部分が虫歯を防ぐ効果を生んでいるのでしょうか?
キシリトールがむし歯を防ぐ要因は、大きく二つに分けることができます。

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唾液分泌の促進と再石灰化作用

一つは、キシリトールの成分である糖アルコールが持つ唾液分泌の促進と再石灰化作用です。

糖アルコールには甘みがあるため、口腔内に入れると味覚を刺激し、唾液分泌を促進します。また、ガムとして噛んだ場合には、咀嚼により唾液分泌も促進されます。ただし、唾液分泌が促進されても、唾液そのものにはミュータンス菌の数を減少させる効果はありません。

また、糖アルコールにより歯垢中のカルシウムレベルが上がるので、歯の再石灰化に役立ちます。糖アルコールとカルシウムの複合体は歯の硬組織中に進入して再石灰化を促進し、歯を硬くします。

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酸の中和促進とミュータンス菌の代謝阻害

もう一つはキシリトールが歯垢中の酸を中和促進し、ミュータンス菌の代謝を阻害することです。

キシリトールには歯垢中に存在するショ糖を分解する酵素(シュクラーゼ)の活性を低下させます。歯垢中で酸ができにくくする作用に加え、アンモニア濃度を上げて酸の中和を促進する働きがあります。

適切な睡眠時間と歯を守るために

口腔内の健康を保つ手段として最も重要なことが4つあります。

それは、
①歯をみがく
②フッ化物配合歯磨き剤を上手に使う(フッ化物の応用)
③発酵性の食品が口に中にとどまる時間を短くする(正しい食生活)
④これらの手段がきちんと機能しているかチェックする(定期的歯科健診) です。

手や顔を洗い、体の清潔を保つことと同じように、歯の清潔を保つためはみがきは基本です。
精神の健康を守るための正しい食生活と、その効果判定のための歯科医院での定期的健診は、生涯を通じて行わなければならない大切なことと言えます。

それではこの4つの中で、キシリトールはどこに位置するのでしょうか。

キシリトールを使う(食べる、摂取する)ことは、前述の健康な歯を守る方法に取って代わるものではありません。キシリトールを常用することは、これらの手段の効果を著しく向上させます。
例えば、キシリトールは歯垢を剥がしやすくするため、ブラッシング効果を上げますし、フッ化物と一緒に使うことにより、歯を硬くする効果を向上させます。

また、キシリトール製品を利用して、正しい食生活の教育もできますし、歯科医院ではキシリトール製品を使用したむし歯予防の説明とその効果判定が受けられます。そのため、キシリトールを使ったむし歯予防法は、「追加型むし歯予防法」と呼ばれています。

こまめな口腔ケアで失う歯の本数は減らせる!

キシリトールを使用することにより、全体的に砂糖の摂取頻度を減らすことが可能です。
そして口腔内が酸性になりにくい環境をつくれば、虫歯の予防自体は見込める。その製品が唾液の分泌を促すものであれば、虫歯になることも少なくなります。

上記のキシリトールの効果を考えた場合、砂糖入りのキシリトール食品や、歯磨きの代わりにキシリトールガム、ケーキを食べた後にキシリトールで予防などは効果はありません。

歯を強くするフッ化物の入った歯磨き剤を上手に使いながらしっかりと歯をみがき、食品が口に中にとどまる時間を短くできるように正しい食生活を送り、定期的にクリニックで専門医のチェックを受ける。

その上で歯科専用のキシリトールガムを食べるなどして、お口の中へキシリトールの最大限の力を引き出すことを心がけましょう。

日進市の「歯科オーラルクリニック エクラ」は、お口の中の健康についてはもちろん、キシリトールの製品についても専門的な知識でお応えすることができます。定期検診はもちろん、さまざまな悩みにしっかりとご相談にのり、お応えできるようにしております。是非お気軽にご相談ください。

医療法人 エクラ会 歯科オーラルクリニック エクラ
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Mia(ミア)

Mia

歯科助手をしながら、歯科衛生士を目指しているMia(ミア)です。 人の役に立てるような仕事に就きたい、手に職を付けたいという思いから歯科衛生士を目指しています。患者さんからたくさん「ありがとう」と言ってもらえるように頑張っています。

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