予防歯科(メンテナンス) 口腔ケア 虫歯・歯周病

なぜ、歯周病は減らないのか!?歯周病は増え続けている、その原因をお伝えします。

今現在、虫歯が1本でもあるような子供は、全体の何%くらいいるかご存じでしょうか?
この図をご覧ください。


この図は厚生労働省が調査した、虫歯がある人の割合の年次推移です。
むし歯(治療済みを含む)を持つ子どもの割合が急激に減少している事がわかります。
過去のデータでは、昭和62年に6歳だった子どもがむし歯になる確率(乳歯・永久歯)は91%でしたが、平成23年に6歳だったの子どものむし歯率は42%で、この24年間でむし歯率は半数以下に改善されたことも証明されています。
現在では、全体の約8割の子供が虫歯が一本もない状態であると言われています。

では、歯周病はどうでしょうか?

この図によると、1999年から2016年にかけて4mm以上の歯周病がある15~24歳の人の割合は、およそ2倍に膨れ上がっています。
現在では20代でも約2〜3割が歯周病に感染していると言われ、高齢者になると5割~6割へと増加します。歯を失う理由も、虫歯より歯周病のほうが多いというデータもあります。

このように、現在、お口のなかの病気として一番脅威を奮っているのが『歯周病』なのです。

今回も、前回に引き続き、増え続ける歯周病の脅威についてお話ししていこうと思います。


歯周病はなぜ減らないのか

歯みがきを一生懸命しているのにもかかわらず、歯周病が進行してしまう人がいるのも事実。虫歯と違って歯周病は、初期のうちは見た目ではわかりません。痛みもあまりなく自覚症状がないまま進んでいってしまうことも多くsilent disease(サイレント・ディジーズ=沈黙の病)とも呼ばれています。

歯周病の原因は、歯垢(プラーク)の細菌が出す毒素によって歯ぐきが炎症を起こすことです。そのため歯周病予防にはプラーク除去が一番大切になります。

歯周病における生活習慣の大切な改善ポイントは口腔の清掃です。
歯だけではなく、歯と歯肉の間の歯周ポケット内を毎日継続して清掃する習慣を持たないと治癒しません。
しかし、歯周病が進行し、ポケットがどんどん深くなって、清掃器具が届かない深さになってしまうと清掃器具も届きません。そのような場所には、歯周外科手術が必要になります。また、歯並びが悪く清掃器具が届かない場合には歯列矯正が必要です。
このように歯周病の治療には多くの専門分野の連携が必要なのです。

多くの分野と連携した歯周病の専門医院が今後増えてくれば、歯周病は減って行くと考えています。

歯周病を引き起こす原因主な細菌

最近では、歯周病を引き起こす細菌の研究が盛んに行われるようになりました。
口腔内細菌は「虫歯のミュータンス菌」と「歯周病の歯周病菌」ぐらいの区分しかされていませんでしたが、研究が進むにつれ歯周病菌にも様々な種類のものがあることがわかりました。

そんな歯周病菌の一部をご紹介します。

タンネレラ・フォーサイシア

出典:京都大学

顕微鏡での見た目はひょろ長い棒切れのような趣で、嫌気性、つまり酸素をたいへん嫌っている最近です。環境や栄養に敏感で、フゾバクテリウム・ヌクレアタム菌という別の菌と一緒でないと育たない特殊な菌類です。しかし、口の中に入るとトリプシン様酵素などの物質を放出し、歯の周りの細胞を壊し、歯周病を引き起こします。

歯周病では歯肉の炎症により血が出てくることがありますが、こちらもこの菌にとってはかなりの栄養分になってしまう怖い菌です。

トレポネーマ・デンティコーラ

顕微鏡での見た目は螺旋状のデンティコーラは、いろいろなものと良く引っ付く性質があります。
デンティコーラ菌がいろいろなものに腰を落ち着けるときに使うタンパク質は、歯周組織を破壊する作用を持ちます。

組織を痛めつけると白血球がサイトカインと呼ばれる物質を分泌して炎症を起こします。デンティコーラ菌は血管の出入り口から滲み出てくる栄養が好物なので、わざわざサイトカインが出るように白血球を刺激します。

デンティコーラ菌はさらに食事しやすいところを求めて、心臓冠動脈や大動脈の動脈硬化部位に住み着くことがあります。このことによって、動脈硬化を悪化させるとの研究結果もあります。歯周病がほとんどない人でも10%、歯周病の重い人では30%近くの人で検出されたというデータもあります。

ポルフィロモナス・ジンジバリス

引用:日本細菌学会 ジンジバリス菌の電子顕微鏡像 線毛と菌体外小胞が菌体周辺にみえる。

この菌は、赤血球を血球凝集素で捕まえ、ジンジパインというトリプシン様酵素で赤血球を溶かしてその中身を捕食しています。ヘモグロビンと結合すると黒くなるタンパク質を体表に持っていますので、捕食すればするほど黒くなります。

ジンジバリス菌は白血球からうまく隠れつつ細胞に毒素を注入して消化するというおそろしい菌ですが、やはり先ほどのデンティコーラ菌と同様によく動脈硬化部位から見出されます。

ごく最近になってジンジバリス菌のもつLPSとよばれる物質や酵素がリウマチやアルツハイマー病を引き起こす原因なのではないかとも疑われています。
もしもジンジバリス菌が原因であるならば、歯みがきでリウマチやアルツハイマー病になる確率を下げられるかもしれません。

歯周ポケットを測るのもNG?!  細菌のこまめなチェックを!

歯周病かどうかを測定する際、歯科医院に行って歯周のポケットの深さを「ポケット探針」「ポケットプローブ」と呼ばれる専用の器具で測定します。
これって歯周病チェックには欠かせないかと思いますが、実は歯周病菌の繁殖を助長させてしまう恐れがあります。
顕微鏡で口の中を確認し、どのような菌がいるのかを認識することで、その菌への対処法を考えることが歯周病への1番のアプローチだそうです。

日進市の「歯科オーラルクリニック エクラ」では、顕微鏡での病原菌の確認を始め、歯周病治療に関する専門的な情報をご提供します。一生にわたって健康なご自身の歯を健康に保つ、歯周病ゼロの「ペリオフリー」を目指して予防と治療を行っています。

専門的な知識と皆様に寄り添ったカウンセリングで、歯肉炎や歯周病を予防、治療するお手伝いをいたします。

歯周病を減らし、予防するために是非当院をご利用ください。

医療法人 エクラ会 歯科オーラルクリニック エクラ
  • この記事を書いた人
  • 最新記事
Mia(ミア)

Mia

歯科助手をしながら、歯科衛生士を目指しているMia(ミア)です。 人の役に立てるような仕事に就きたい、手に職を付けたいという思いから歯科衛生士を目指しています。患者さんからたくさん「ありがとう」と言ってもらえるように頑張っています。

-予防歯科(メンテナンス), 口腔ケア, 虫歯・歯周病