お口のケアが健康守る!金属アレルギーについて知っておくべきこと
金属アレルギーと聞いて、どんな症状のイメージがありますか。
金属アレルギーの症状は、人によって異なりますが、一般的に以下のような症状が見られることがあります。
皮膚の反応
- 湿疹:金属が接触する皮膚部分にかぶれ、赤み、かゆみ、発疹が生じることがあります。
- 接触性皮膚炎:接触部位が赤く腫れ上がり、痛みや熱感を伴うことがあります。
口内症状
- 口内炎:お口の中に痛みを伴う小さな潰瘍が発生することがあります。
- 金属味:口の中に不快な金属の味が感じられることがあります。
- 歯肉の変色:金属の成分によって歯肉が青や黒に変色することがあります。
一般的なアレルギー反応
- 目のかゆみや赤み:目が水っぽくなったり、かゆみを感じることがあります。
- 呼吸困難:非常にまれですが、重度のアレルギー反応で呼吸が困難になることがあります。
これらの症状は、金属に対する個々の感受性や、アレルギーを持っている特定の金属の種類、接触の度合いによって異なります。金属アレルギーが疑われる場合は、皮膚科の医師に相談し、適切な診断と治療を受けることが重要です。
皮膚科をを受診しても改善されない
アクセサリーを外しても症状がかわらない。
あなたがこれまで受けた歯科治療には、詰め物、被せ物、入れ歯などが含まれており、これらには金属が使用されている場合があります。
金属アレルギーは、このような歯科治療で用いられる金属に対して反応し、発症することがあります。お口の中に苦みを感じたり、口元や顔に湿疹が出る場合には、金属アレルギーを疑い、注意が必要です。
歯科治療に使用される一般的な金属
金(ゴールド) | 銀(アマルガム) | 金銀パラジウム合金 |
生体適合性が高く、耐久性に優れているため、高品質のクラウンやブリッジに使用されます。 | アマルガム詰め物は、50%の水銀を含む合金で作られています。この水銀が口の中で溶け出し、体内に蓄積することがあります。その結果、金属アレルギーの症状が発生する可能性があります。 | 耐蝕性と変色防止性に優れており、高品質なクラウンやブリッジに用いられます。人工の歯は天然の歯より硬いため、噛み合わせる際の衝撃が蓄積され、それが首や肩のこり、腰痛、頭痛といった全身の不調を引き起こす可能性があります。 |
銀歯は、海外では禁止され始めている。
バブルを経験された世代の方々であれば、子供の頃、虫歯治療において選択肢のほとんどが「銀歯」でした。現在でも銀歯は虫歯治療の一般的な方法であり、成人の約7~8割が銀歯治療を受けているとされています。
しかし、銀歯は冷たい飲み物や熱い飲食物の摂取、また、噛むことによって金属イオンが溶け出すため、金属アレルギーや歯の早期老化などの問題が指摘されています。
海外の一部の国々(ドイツやスウェーデン)では、銀歯の使用が制限されたり、禁止されたりしています。
その理由には、銀歯に含まれる金属イオンが溶け出し、身体に悪影響を及ぼす可能性が指摘されていることが挙げられます。
例えば、金属アレルギーや金属イオンによる組織への悪影響が報告されており、これらのリスクを踏まえ、欧州や北米などの一部地域では銀歯の使用が制限される傾向にあります。
なぜ、日本は「銀歯」を使い続けるの?
日本において、歯科治療における銀歯の使用が広く見られる背景には、複数の要因が関わっています。
銀歯(アマルガム※充填物)の使用に関する日本と海外の違いを説明するには、歴史的、文化的、医学的な要因が絡み合っています。今回のブログでは、これらの要因を含めた詳細な説明をしていきます。
※アマルガムは主成分が水銀でできています。
なぜ日本では銀歯が未だに主流なのでしょうか。その要因には、日本の歯科医療の体制や患者さんのニーズが関係しています。
日本では、保険制度が整備されており、銀歯治療が保険適用されるため、患者さんにとって比較的低コストで治療を受けることができます。そのため、費用の負担が軽減されることから、多くの患者さんが銀歯治療を選択しています。
1. 歴史的背景
日本の歯科医療において、銀歯は長らく主流の治療法として確立され、現代の歯科治療の基本的な一部として広く受け入れられています。
明治時代に西洋の歯科医学が導入された際に、銀歯は進歩的な技術として導入されました。
その後、銀歯は日本の歯科治療の主流となり、多くの歯科医師がこれを使用するようになりました。この歴史的な背景は、日本の歯科界における銀歯の普及と受容に影響を与えています。
2. 文化的な要因
日本の文化では、伝統と安定性が重視される傾向があります。
この文化的な背景は、新しい技術や治療法を受け入れる際に保守的な姿勢を生み出すことがあります。
そのため、日本では銀歯のような伝統的な治療法が依然として支持されています。また、日本の一部の患者さんは、銀歯が金属であることから、それに対する耐性や信頼を持っています。
3. 医学的な考慮
3-1. 安定性と耐久性
銀歯は、他の充填材料と比較して安定性と耐久性に優れています。これは、銀歯が長期間にわたって口内環境において安定して保持されることがあるためです。
歯科医師の多くは銀歯の取り扱いに慣れており、その技術や知識を持っています。そのため、患者に安心感を与えるとともに、効果的な治療を提供することが可能です。
特に、噛む力が強い場合や後方の歯の修復において、銀歯は優れた選択肢となります。
3-2. 経済的負担
日本の国民皆保険制度では、歯科治療の費用が一部補助されるため、患者にとって経済的負担が比較的軽減されます。
このため、コストが高いとされる他の充填材料よりも、銀歯が広く採用されています。
4. 海外での状況
一方で、海外の多くの国では、銀歯の使用が減少しています。これにはいくつかの理由があります。
4-1. 美容的要因
近年、多くの患者が見た目に配慮した治療を求める傾向があります。銀歯は金属製であり、目立つことがあるため、見た目を気にする患者さんは、より自然な外観を提供する他の充填材料を選択する傾向があります。
4-2. 環境への配慮
銀歯の製造には水銀が含まれており、廃棄物として排出される際に環境への影響が懸念されます。
そのため、環境への配慮から、多くの国で銀歯の使用が制限されています。
4-3. 健康への懸念
一部の研究は、銀歯が放出する微量の水銀が健康への悪影響を及ぼす可能性があると示唆しています。このことにより、一部の歯科医師や患者の方は、銀歯の使用を避ける傾向があります。
銀歯(アマルガム:主成分が水銀)水銀は、水俣病の原因になったことを知っていますか。そうした物質を口の中に入れておくことは良くないことです。
口の中に入った金属は少しずつイオン化して体内に吸収されます。現在では、アマルガムは使用されなくなっていますが、以前に治療を受けた方の口の中にはまだ残っていることがあります。そのような場合には、削って体に害のない素材で詰め直すことをオススメします。
まとめ
お伝えした来たように、日本における銀歯の使用が主流である背景には、歴史的な経緯や保険制度、患者のニーズなどが関係しています。しかし、歯科医療の進歩や患者の方の健康意識の変化を踏まえると、将来的には銀歯に代わる新たな治療法が普及していく可能性が高いと言えます。
銀歯を詰めたり、はめたりする際には、周囲の健康な歯も削る必要があります。
銀歯の寿命はおおよそ5から7年です、治療を繰り返すたびに歯が減っていく可能性は否定できません。
日本では銀歯の使用が続いていますが、海外ではその使用が減少しています。
これは歴史的、文化的、医学的な要因によるものであり、患者の方の好みや治療環境によっても異なります。歯科医師としては、患者さんのニーズや健康に対する配慮を考慮しながら、最適な充填材料を選択することが重要で、いつでもご説明をし、最適な充填材料を提案しております。
近年、歯科医療の進歩に伴い、より安全で耐久性の高い代替素材が開発されています。
患者さんの健康意識の高まりや歯科医療の技術革新に伴い、銀歯に代わる選択肢が求められる声も増えています。特に若年層や美意識の高い患者さんにとって、見た目や健康への配慮が重視される傾向があり、非金属系素材への需要が拡大しています。
例えば、セラミックやコンポジットレジンなどの非金属系素材が普及し、銀歯に代わる選択肢として広く受け入れられています。
これらの素材は見た目が自然であり、金属イオンの溶け出しやアレルギー反応の心配が少ないため、患者さんからの支持も高いです。
治療費の問題に直面する際には、安易に安価な銀歯を選択し、繰り返し治療を受けることで最終的に歯を失うリスクを受け入れるか、昨今、保険でも金属を使わないプラスチックのCADCAMの歯を利用したり、高額ではありますがセラミックやジルコニアなどの長期的な利点を考慮し、自分の歯をできるだけ長く保つ道を選ぶか、検討する必要があります。