今回はお子さんも必見、口呼吸によってもたらされる障害や影響についてお伝えしようと思います。
口呼吸は単に癖だけでなるというものではなく、口や鼻の状態や骨格、日々の生活状況に原因があります。
鼻や咽頭に疾患があって鼻呼吸しづらかったりするのはもちろん、出っ歯やあごの狭さなどによって舌の位置が下がり口が開いてしまう場合も考えられます。ほかに姿勢がよくなかったり、そもそも口を閉じる力(口唇閉鎖力)が弱いということも口呼吸になる原因と関連があります。
そんな中お子さんのお口の閉鎖力は、赤ちゃんのときにしっかり乳首をくわえて吸えていたか、離乳食期に唇を使う練習ができていたかなどに影響しています。
「酸素不足はすべての病気の原因」
日本の細菌学者でも名高い野口英世博士は「酸素不足は全ての病気の原因」という言葉を残しています。
特に慢性疾患がある場合は体が低酸素に慣れてしまっていることが多いです。しかし、これは自覚症状に乏しいことがあり、低酸素状態で全身の臓器に負担がかかっていることすら気づかないことがほとんどなのです。
歩行時などに息切れを感じている方は、もしかしたら体が酸素不足になっているかもしれません。
そんな時に必要なのが鼻呼吸。
鼻呼吸は口呼吸に比べて回数や換気量が多くなります。 口呼吸ではなかなか酸素が体の中に取り込まれません。鼻腔の粘膜から多量の一酸化窒素が産生され、体への酸素の取り込みが促進されます。
口呼吸は「乾燥」を引き起こす。
鼻呼吸で酸素が取り込まれるのであれば、口呼吸で引き起こされることは何でしょうか?それは『乾燥』です。
お口の渇き、唾液の分泌の減少、口腔内乾燥、これこそがすべての病気を引き起こす原因でもあるのです。
広い意味での口腔乾燥症は、唾液分泌の低下だけでなく、口が乾いていると自覚する症状全てをさしますが、口腔内乾燥(ドライマウス)とは基本的に、唾液の分泌が低下して、口が乾いた状態のことをさします。
平均的な唾液の分泌量は、一日あたり約1~1.5リットルで、口の中の唾液腺から湧き出し、口の中の食べかすを、消化器官へと、洗い流してくれています。
軽度の乾燥では主に口の中にネバネバ感が出てきたり、ヒリヒリしたり、虫歯を引き起こしたりすることが症状としてあげられます。
重度になると、唾液分泌量が低下し口腔内の乾きが進行し、強い口臭、舌表面のひび割れ、痛みで摂食障害、会話しづらいなどの障害も現れます。場合によっては不眠をきたすこともあります。
唾液には抗菌作用もあり、口の雑菌の繁殖を防いでくれています。そのため、唾液が不足して口が乾くと、虫歯や歯周病にかかりやすくなり、また、口臭の原因にもなってしまうのです。
『パパ、お口臭い』で気づく口腔内乾燥。
あらゆる動物が生きる上で欠かせない活動、それが呼吸です。
哺乳類は人類以外、口呼吸ができないことを知っていましたか?
他の動物も人間と同じように、口と鼻から空気を取り入れられるのかなと普通は考えてしまいますよね。
馬や犬が、鼻の穴を大きく膨らませ舌を出し「はーはー」としているのは口呼吸ではなく、体温調節をしているだけなのです。
人類は進化の過程で咽頭蓋と軟口蓋がはなれ、口で呼吸ができるようになり、会話ができるようになりました。
口呼吸は本来の生命維持のための呼吸法ではなく、会話のための呼吸法なのです。
会話の為だけに、口の中が乾いてしまっていては生きる意味がありません。
口の中が口腔内免疫、恒常性、自浄性等が自然に整うはずが、口呼吸で乾燥がおこり、口腔機能低下が進んでいる。その結果、舌表面が乾燥して不潔になり、結果口臭に結びついてしまいます。
お子さんに「パパ、お口くさい」と言われてショックを受けられた方は多いのではないでしょうか?
口呼吸の度に作りだされる細菌などの死骸や、死滅した免疫細胞群は、腐敗ガスを発生するため口臭ガスの発生源になっていきます。睡眠時無呼吸症候群や生活習慣病への影響などにも繋がっている、と言われています。
前回の記事で書いた『あいうべ体操』はそんな口臭さえも治す力を持っています。鼻で行う正しい呼吸法を身につけ、舌の位置を改善し、こまめに歯みがきをすることで、お子さんに嗅がれても恥ずかしくない、清潔なお口を目指しましょう。
新型コロナウイルス後遺症の改善には・・・
今、日に日に増えてきている新型コロナウイルス感染後の後遺症。この治療に最も友好的な治療の一つにBスポット両方というものがあります。
これは鼻の奥、口から見ると口蓋垂(のどちんこ)の裏側にあり、医学的には上咽頭(鼻咽腔)と言います。
この場所は実は鼻呼吸をした際に、空気が一番始めに当たって方向転換する部分です。
吸気中の塵や細菌がたまりやすく、たびたび炎症を起こします。
風邪の引き始めは、ほとんどがこの部位からです。
鼻の通りには生命を維持するための影響があるかがよくお分かりになったかと思います。
鼻の通りをよくするために鼻うがいをしてみるのもいいかもしれません。ニールメッドという鼻うがい専用の洗浄ボトルがあります。こちらを使って鼻の中の塵や不純物を落とし、鼻の通りをよくした上で、快適に鼻呼吸を行いましょう。
あなたはそれでもお口で呼吸をしますか?
オーストラリアでの研究結果によりますと、口呼吸はお子さんのIQをも低下させてしまうという恐ろしい影響が報告されています。
口呼吸が子供の成長発育に及ぼしている弊害に着目した結果、小学校就学時検診で「鼻呼吸が出来るか」確認する検査ができたほどです。
知能指数IQが下がるということは「わが子が到達できる本来の知能指数IQに届かなくなる」ということ。つまり、子供が持つ無限の可能性に蓋をしてしまう可能性があるということです。
子供が持つ可能性を信じて寄り添い、支援していくこと。それはお子さんの幸せだけでなく、私たち親の幸せにもつながることかもしれません。
日進市の「歯科オーラルクリニック エクラ」は、このあいうべ体操に関してのプロフェッショナルを意味する、「息育(そくいく)指導士」の資格を保持しています。唾液の分泌にお悩みの方や、口腔内の乾燥が気になった方、呼吸の仕方に関して少しでも違和感がある方のお悩みにもしっかりお応えいたします。
口呼吸を脱却し、鼻呼吸を定着させたい方、あいうべ体操のやり方を知りたい方も、是非お気軽にご相談ください。