前回の記事で、口呼吸を防止する「あいうべ体操」をご紹介しました。
アレルギーの改善やインフルエンザの予防としても名高い「あいうべ体操」は、考案者の今井一彰先生によって広められ、今やその重要性に伴って鼻呼吸を習得するための資格や、「あいうべ協会」という団体までできているほどです。
冬は体が冷えやすく、体温が下がると免疫力もダウンしやすくなります。そんな時、口呼吸から鼻呼吸に変えることで免疫力も上がりやすくなります。今回も前回に引き続き、口呼吸の重要性と、あいうべ体操について詳しくお伝えしようと思います。
「あいうべ体操」とは・・・
「あ」「い」「う」「べ」の口で舌を鍛えて口呼吸を鼻呼吸に改善していく口の体操です。
この体操は舌の筋肉(舌筋:ぜっきん)をはじめ口元の筋肉が鍛えられる体操です。口呼吸の改善によってさまざまな効果が得られるほか、顔のたるみ・しわの改善による美容効果、脳の血流をアップさせる効果など、その他多くの効果が得られるだけでなく、あらゆる病気の原因治療につながります。
「あいうべ体操」をしっかり継続している人は、自然に鼻で呼吸ができるようになり、症状が改善していくことがあります。
呼吸は生まれてから死ぬまで一時も休むことなくしなければなりません。一日の呼吸回数は何と2万回と言われています。
それを鼻からする鼻呼吸なのか、口からする口呼吸なのかで、あなたの体は驚くほどの変化を見せるのです。
おさらい!HOW TO「あいうべ体操」
では、再度、あいうべ体操のやり方をご紹介しようと思います。
次の4つの動作を順にくり返します。声は出しても出さなくてもかまいません。
(1)「あー」と口を大きく開く
(2)「いー」と口を大きく横に広げる
(3)「うー」と口を強く前に突き出す
(4)「ベー」と舌を突き出して下に伸ばす
(1)~(4)を1セットとし、1日30セットを目安に毎日続ける
あいうべ体操で鍛えられる筋肉
口周りにはたくさんの筋肉があります。口腔周囲筋と呼ばれ、舌・頬・唇・顎などの筋肉が含まれます。口腔周囲筋は、会話や食事(咀嚼)で日常的に使われていますが、十分に使われていないというのが実情です。
あいうべ体操では、「あ」「い」「う」「べ」の口の動きによって、次のような筋肉をしっかりと使い、鍛えることができます。
「あ~」の動き | 舌骨筋群 (舌を支える舌骨につながる筋肉の総称) |
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口輪筋以外の口筋 (口唇周囲の筋肉) |
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開口筋群 (下顎を引き下げ、口を開ける動きをする筋肉) |
「い~」の動き | 広顎筋 (首の筋肉) |
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笑筋 (えくぼを作る筋肉) |
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大頬骨筋 (口角のあたりからこめかみにつながる筋肉) |
「う~」の動き | 口輪筋 (口を閉じたり、とがらせたりするときに使う筋肉) |
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「べ~」の動き | 舌筋 (茎突舌筋・舌骨舌筋など、複数の筋肉の総称) |
考案者の今井先生による「あいうべ体操」解説動画
あいうべ体操を考案された、みらいクリニックの院長で内科医の今井一彰先生は、youtubeにてあいうべ体操について上記のように解説していらっしゃいます。
是非一度ご覧になって、あいうべ体操をマスターし、日々の習慣として定着させましょう。
あいうべ体操で自律神経を整える
人間の体内には無数の神経があります。その中で、内臓の働きなどを調整してくれるのが「自律神経」です。自律神経が乱れると心や体にさまざまな支障が出ます。
自律神経の乱れから、不安や緊張感が高まり、吐き気や多汗、全身のだるさ、頭痛、肩こり、手足のしびれ、動悸、不整脈、めまい、不眠など、さまざまな症状が見られる病気です。
臓器にも悪影響を及ぼします。胃酸が過剰に分泌され、胃の痛みや胸やけを感じる「神経性胃炎」、腸のぜん動運動に異常が生じて腹痛を伴う下痢や便秘が起こる「過敏性腸症候群」がこれに当たります。
あいうべ体操は自律神経を整え、こういった体の不調を整えることができます。
自律神経は交感神経神経と副交感神経という相反する働きの二つの神経から成り立っており、交感神経は活動・ストレスといった状態=昼間に優位になりやすいです。
生命を維持する機能は自律神経機能です。それを自らコントロールできるのは呼吸だけです。
副交感神経は休息やリラックス状態にある時=夜間や睡眠中に優位になりやすいです。日々の生活の中では、無意識的な呼吸になりやすく、浅く短い呼吸になっていることが多いです。
この呼吸では交感神経が優位に働きやすく、自律神経自体のバランスが崩れ免疫力の低下などを引き起こすのです。
呼吸は意識をすることで呼吸の回数や速さをコントロールすることができます。正しく深呼吸をすることで、副交感神経を刺激し、交感神経優位の体をリラックスした状態にする効果があります。
また自律神経は白血球の割合にも働きかけており、交感神経優位では顆粒球が、副交感神経優位ではリンパ球が増えると言われています。
顆粒球とは細菌やウイルスに対しての即戦力になりますが、増えすぎると自分の体を攻撃したり、有害な活性酸素を出すために胃潰瘍や、がんなどの病気が引き起こされることがあります。
一方リンパ球は免疫を高める働きをしますが、増えすぎてもアレルギー疾患や低体温になることもあり、自律神経のバランスが重要です。
冬は体が冷えやすく、体温が下がると免疫力もダウンしやすくなります。口呼吸から鼻呼吸に変えて、自律神経の働きをよくし、免疫力をあげて病気になりにくい体を作りましょう。
あいうべ体操で健康的な生活を送りましょう!
今回は「あいうべ体操」について詳しく解説いたしました。呼吸を鼻ですることを癖づけるためにこの体操を是非活用していただきたいと思います。
以下の記事で、「なぜ口呼吸がよくないのか!」についても解説しているので、こちらの記事もぜひ併せて読んでみてくださいね。
日進市の「歯科オーラルクリニック エクラ」は、このあいうべ体操に関してのプロフェッショナルを意味する、「息育(そくいく)指導士」の資格を保持しています。呼吸の仕方に関して少しでも違和感がある方、口呼吸を脱却し、鼻呼吸を定着させたい方、あいうべ体操のやり方を知りたい方は、是非お気軽にご相談ください。