予防歯科(メンテナンス) 虫歯・歯周病

絶対に口呼吸はやめて下さい!鼻呼吸と口腔ケアでウイルス感染症リスクを減らす。

口で呼吸していませんか!?

新型コロナウイルスが世界中で猛威を振るっています。日本でも、世界の国々に比べると死者の数こそ少ないものの、一旦収まりかけたと思われた感染者数が再び増えています。春に、政府が「緊急事態宣言」を発出しましたが、現在ではそのときの感染者数をはるかに超え、重傷者数も増えたため、政府が二度目の「緊急事態宣言」を発出する状況となっています。

この新型コロナウイルスに限らないのですが、歯科的にみたときに、ウイルス感染症のリスクを減らしたり、重症化を防いだりする手立てはいくつかあるのです。今回は、そのことについてのお話です。世間では、「密にならないこと、手洗い、消毒」などいろいろと感染予防策が実施されていますが、歯科的な対処法もぜひ頭に入れておいていただきたいと思います。

→歯科的視点からみた「新型コロナウイルスの、舌ケアによる重症化予防について」の記事はこちらから。

口呼吸をやめて、鼻で呼吸しましょう

今回は、鼻呼吸と口腔ケアでウイルス、感染症のリスクを減らすというお話です。

最初に書いたように、現在、新型コロナウイルスが猛威を振るっており、その予防手段のひとつとして、「マスク」を着ける機会がかなり多くなっています。感染症予防として、マスク着用はとても重要です。ただ、一方では、「口呼吸」のリスクが心配されます。どういうことかと、マスクを着けることによって息苦しくなり、自分でも無意識のうちに口を開いて呼吸しているということがあるのです。

さて、この「口呼吸」ですが、「鼻呼吸」と比べて何か違いがあるのでしょうか?

確かに、「呼吸する」ということそのものにおいてはどちらも変わりないように思えるのですが、結構体にとっては違いがあるのです。

「鼻呼吸」では、ウイルスが体の中に入らないようにする仕組みが様々備わっているのに対して、「口呼吸」にはその仕組みが全く無いのです。

その仕組みは、まず、鼻の入り口には鼻毛があります。この毛によって、チリやほこりのみならずウイルスもブロックされるのです。その次には、鼻の中の粘膜から出される粘液があります。ウイルスがこの粘液に捕らえられると、鼻から喉の奥まで生えた線毛が働いて、痰などで体の外に排出されたり、胃に運ばれて、胃酸の働きで無害化されたりします。

そして、冷たく、乾いた空気を吸い込んだとしても、鼻の中の隅々まで張り巡らされた毛細血管のおかげで、喉の奥に達するまでには体温近くの温度に上昇します。また、湿度も80~85%になり、湿気に弱いウイルスが生き延びにくい環境となるのです。

このような理由で、ウイルス対策には、鼻で呼吸する必要があり、口呼吸では感染リスクが高くなるということができるのです。

そうはいっても、元々口呼吸をしている人、マスクの着用によって知らず知らずのうちに口呼吸をするようになってしまった人にとっては、鼻呼吸を意識してできないということもあると思います。強制的に口にテープを貼って寝るなどの対策もあり、それも効果はあるのですが、口腔ケアもまた重要になってくるのです。

実は、この「口テープ」ですが、社会的ブームを巻き起こしている『鬼滅の刃』の主題歌で大ブレイクし、ベストアーティスト2020に主演し、NHKの紅白歌合戦にも出演した、歌手のLiSAさんも愛用しているそうです。以前テレビに出演されたときに、口テープを使って絶えず口の中を保湿しているという話をされていました。口腔内を保湿することで、乾きのみならず、ウイルス感染のリスクも減らすことになり、喉を保護して、あの素晴らしい歌声を保っているのですね。

口テープは、市販されている専用のものを使用しても良いですし、紙ばんそうこうで代用しても大丈夫です。

加えて、口腔ケアをすることがやはりウイルス感染のリスクを減らすことには効果的です。口腔ケアで口腔内の細菌を減らすことになり、口内の保湿にもなるからです。

この、口内を保湿しておくということですが、感染症についていえば、きちんと唾液が出るようにしておくということが大切なのです。

唾液の中には、ウイルスを防御する「抗体」がたくさん含まれているのです。

ここでひとつ、俳優の武田真治さんの事例を紹介しておきましょう。彼は、最近、筋肉芸人としてブレイクしていますが、新型コロナウイルスに感染した上に、インフルエンザにまで感染してしまいました。筋肉を鍛えていて、とても体が丈夫そうなので、ニュースを聞いて驚かれた方も多かったと思います。

では、なぜ彼は両方のウイルスに感染してしまったのでしょうか。先ほどの、唾液に含まれる抗体の中に、SIgAというものがあります。この抗体は、激しい運動によるストレスホルモンが分泌されることによって、その分泌量が減ってしまうのです。そのことが感染につながった可能性もあります。彼の感染原因をこのことに特定することはできませんが、口腔内に抗体を多くして感染症リスクを減らすためにも、きちんと口腔ケアをしましょうと言いたくて例に挙げました。

ここで口腔ケアのひとつの方法をご紹介します。

まずは、保湿抗菌効果をえるため、口の中のぶくぶくうがいをすることが重要です。一時、イソジンでのうがいが新型コロナウイルス予防に効果的であるというような情報が出回り、イソジンが品切れで手に入らなくなるという事態がありましたが、あの情報は、正しい情報ではありません。イソジンは、あくまでも症状が出た後に使うもので、症状が出ていない限りは、水で十分効果があります。7秒くらい強くぶくぶくうがいをすると良いです。

次に、歯磨きですが、歯ブラシ、糸ようじ、歯間ブラシの順に使って磨くと良いです。磨く順番は、好きな歯から、一筆書きですべての歯をもれなく磨くようにしましょう。1本に10~15秒かけて、45度の角度で合計3分間磨きます。この歯磨きの前後いずれかに、舌ブラシをするとさらに効果的です。

口呼吸を止めて鼻呼吸にする。口腔ケアをする。この、そこまで難しくない方法でウイルスの感染リスクを下げることができるので、ぜひ実践してみてください。

医療法人 エクラ会 歯科オーラルクリニック エクラ
  • この記事を書いた人
  • 最新記事
Mia(ミア)

Mia

歯科助手をしながら、歯科衛生士を目指しているMia(ミア)です。 人の役に立てるような仕事に就きたい、手に職を付けたいという思いから歯科衛生士を目指しています。患者さんからたくさん「ありがとう」と言ってもらえるように頑張っています。

-予防歯科(メンテナンス), 虫歯・歯周病