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新型コロナウイルス重症化は舌ケアで予防できる!

コロナ対策には舌のケアが効果大

日本国内でも、新型コロナウイルスについて騒がれ始めて、約一年となります。

出始めは、「未知のウイルス」として恐れられていましたが、最近では、このウイルスについていろいろと研究がなされ、まだまだ道途上というところではありますが、さまざまなことが解明されつつあります。

一旦落ち着いたかに思われた感染状況も、冬になって感染者が増加し、一部の地域には政府が「緊急事態宣言」を発出する事態となっています。

この状況下で、この新型コロナウイルスの歯科的対処法について改めて考えてみたいと思います。

今回は、舌をケアすることによって新型コロナウイルスの重症化を防ぐことができるというお話です。

まず、新型コロナウイルスについて、かなり専門的で難しく、長くもなりますが、日本歯科医師会から、とても詳しい情報が出ているので、引用しておきます。

新型コロナウイルスの基本知識

2020年に入り、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)が世界中で猛威を奮い、3月11日にWHOがパンデミック(世界的流行)を表明し現在に至っている。
これまでにヒトに感染するコロナウイルス(CoV)として、4種類のウイルス(229E、OC43、NL63、HKU-1)がヒトに日常的に感染し、風邪症候群の原因(全体の10~15%)となることが知られていた。これらに加え、2002年から2003年にかけ中国で猛威を奮った重症急性呼吸器症候群 (SARS)の病原体 SARS-CoVと2012 年に中東や韓国等で流行した中東呼吸器症候群(MERS)の病原体MERS-CoVとが加わった。

SARS-CoV-2はSARS-CoVと遺伝子レベルで約80%、コウモリCoVとは約90%同じであることが報告され、国際ウイルス分類委員会は新型コロナウイルスの名称をSARS-CoV-2と決定、WHOがSARS-CoV-2によって引き起こされる感染症の名称をCOVID-19と名付けるに至っている。SARS-CoV-2は、ゲノムである RNAをタンパク質の殻であるカプシドと脂質のエンベロープとが覆っている。エンベロープは消毒薬に感受性を示すため、消毒によりウイルスは失活し感染性を失う。

SARS-CoV-2 がヒトに感染する際には、宿主の標的細胞表面に存在する受容体(レセプター)に吸着する必要がある。SARSCoV-2 のレセプターは、SARS-CoVのそれと同じくアンジオテンシン変換酵素 2(ACE2)であることが明らかとなっている。普段 ACE2 は血圧の調節に関わっているが、SARS-CoV-2 感染では感染の入口として関わる。

SARS-CoV-2 の S タンパク質が ACE2 に結合すると、細胞への侵入が始まるが、この際、 S タンパク質は宿主細胞に存在するTMPRSS2( Transmembrane protease serine 2)と呼ばれるプロテアーゼ
によって切断される必要がある。

SARS-CoV-2 の感染経路としては、飛沫感染と接触感染とが考えられている。
咳やくしゃみなどをあびることによる飛沫感染に加え、SARS-CoV-2 は段ボールの表面で最長 24 時間、銅表面に 4時間、ステンレスやプラスチック表面に 2~3 日生存することが示されているため、身の回りの物の表面に付着したウイルスが手指を介して、鼻、口、目の粘膜から感染すると考えられている。また、
「エアロゾル感染」という表現で注目されているように、感染者と密閉空間にいることで、飛沫核と同程度の大きさのエアロゾルによって感染が起こる可能性もある。

さらに重要なことに、SARS-CoV-2 は、肺炎発症前の「無症状」の感染者からの感染が起こるため、感染予防対策が困難となっている。したがって、自らが感染しない、または「無症状」の感染者が未感染者に移さないために、ヒトと接しないこと、ヒトが触ったものに触れないことが COVID-19予防の必須条件であり、いわゆる「3 密(密閉・密集・密接)」を避けることが重要となる。

COVID-19 の臨床症状は、約 5 日の潜伏期間の後に表れ、発熱、疲労、乾咳、筋肉痛、およびのどの痛みなどを伴う。炎症が肺全体に広がって血中酸素濃度が低下し、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)などの重篤な呼吸障害が起こると、死に至る場合がある。高齢者や慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの呼吸器疾患、糖尿病や循環器疾患等の基礎疾患を有する感染者は、重症化し易いことや死亡率が高いことが報告されている。

ARDS を引き起こす要因として、サイトカインストームの関与が指摘されている。特に、IL-6 等の炎症性サイトカインの上昇が死亡率と関連しており、過剰な炎症状態が予後の不良に寄与すると考えられている。また、SARS-CoV-2 が血管内皮を傷害することによって生じる微小血栓が重症化に関わることもわかってきた。

口腔は SARS-CoV-2 の重要な侵入門戸であるとともに、炎症が惹起される気管支や肺など下気道への入り口でもあるため、SARS-CoV-2 感染において口腔のもつ意味は非常に重要である。COVID19 の初期症状として、味覚異常と嗅覚異常が起こることが報告されているが、ACE2 が舌粘膜に多く発現しているため、SARS-CoV-2 が味蕾細胞に感染した結果、味覚障害が生じている可能性がある。また、感染者の唾液中にSARS-CoV-2 が多く含まれているため、唾液が感染者の発見に有用である反面、感染源となり得る可能性がある。実際に、唾液中には鼻粘液中に匹敵するウイルスが排出されており、多くの PCR 検査で両サンプルの結果が一致している。

唾液の採取は鼻咽頭ぬぐい液の採取よりも低リスク、低侵襲、かつ簡便のみならず、感染者自身での実施が可能である。このようなことから、わが国でも唾液を用いた PCR 検査や抗原検査が実施されるようになった。

COVID-19 の重症化原因として、細菌の重感染が指摘されている。感染者の気管・肺胞洗浄液や喀痰などから SARS-CoV-2 と共に、肺炎起因菌などの細菌が検出されている。口腔細菌の誤嚥も、COVID-19 重症化に関係している可能性がある。

COVID-19 により入院期間が長引くほど、また SARS-CoV-2 の蔓延が長引くほど、SARS-CoV-2 感染者が口腔衛生管理等を受ける機会が減るため、口腔細菌の誤嚥による下気道の炎症が起こる機会が増えると考えられる。実際、歯周病原菌がインフルエンザの感染性を高めることや下気道において炎症性サイトカインを誘導することなどが報告されている。

一方で、口腔衛生状態と口腔機能とを管理することにより、肺炎やインフルエンザの発症と、COPD や糖尿病の進行を予防できることが報告されている。COVID-19 重症化の予防のみならず、重症化の基盤となる COPD や糖尿病を防ぐ観点からも、口腔健康管理は重要であると考えられる。

(「新たな感染症を踏まえた歯科診療ガイドライン」令和2年8月 公益社団法人 日本歯科医師会 より抜粋)

以上、専門的で長くはありますが、とても大切なことがまとまっていたので引用しました。

今回のテーマの「舌ケア」の必要性については、上の引用でも述べられているとおり、舌に、新型コロナウイルスが体へ侵入する「受容体」(レセプター)である「ACE2」というものが、多く存在しているということが理由です。

ACE2受容体についての研究

舌に多いとこそ言及されていませんが、ACE2受容体についての同じような研究内容が、東京大学医科学研究所から発表されているので、以下に引用します。

SARS-CoV-2が人体に感染するには細胞の表面に存在する受容体タンパク質(ACE2受容体)に結合したのち、ウイルス外膜と細胞膜の融合を起こすことが重要である。コロナウイルスの場合、Spikeタンパク質(Sタンパク質)がヒト細胞の細胞膜のACE2受容体に結合したあとに、タンパク質分解酵素であるTMPRSS2で切断され、Sタンパク質が活性化されることがウイルス外膜と細胞膜との融合には重要である。

(東京大学医科学研究所の発表より抜粋)

 

この、新型コロナウイルスの感染、侵入の入り口となる「舌」ですが、ここには、汚れや細菌のかたまりでできた「舌苔」というものが付いているのです。

神奈川歯科大学副学長の槻木恵一先生の研究で、この「舌苔」の中には、新型コロナウイルスの侵入に必要な感染促進要因が大量に含まれていることがわかってきたそうです。(2020年度 歯と口の健康シンポジウムでの発言より引用。)

最初に引用した、日本歯科医師会の資料にもありますが、新型コロナウイルスの重症化には、細菌の重感染が指摘されているといいます。その細菌を、体内に取り込まないために、舌苔をきれいに取る必要があります。

舌のケアの有効性

舌ケアをすることによって完全に新型コロナウイルスに感染しないということにはなりませんが、上のような理由から、重症化を予防することはできるのです。

重症化すると死に至ることもある、新型コロナウイルスですが、その重症化を予防するためにも、簡単にできる舌ケアを始めてみましょう。

なお、舌ケアの仕方については、去年の6月に記事を書いているので、そちらをご覧ください。

口腔ケアの実践によって、皆様がこの災難の中でも健康に過ごすことができることをお祈りいたします。

医療法人 エクラ会 歯科オーラルクリニック エクラ
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Mia

歯科助手をしながら、歯科衛生士を目指しているMia(ミア)です。 人の役に立てるような仕事に就きたい、手に職を付けたいという思いから歯科衛生士を目指しています。患者さんからたくさん「ありがとう」と言ってもらえるように頑張っています。

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