初心に帰るのは、大変重要な事ですね。
とても大事な事なので何回でも繰り返しお届けさせて頂きます。
ご自身の歯をいつまでも健康な状態で保つために口腔内の予防歯科は、重要な意味をもちます。
そもそも、ヒトに歯が生えて食事を摂るようになってからその命が尽きるまでの一生の付き合いになるのが歯ですのでね。
歯が早々にダメになるとどうなるのでしょうか?
あまり悲観的にとらえて考える人も少ないかとは思いますが、一定のレベルでの知識はほぼすべての方に備わっていると考えられます。
そして、口腔内を綺麗にするための方法には、沢山の情報がありますね。
現代のコマーシャルなどでは、
キレイにするためのブラシの紹介。
プラークを除去する為の方法。
入れ歯のお手入れ方法。
ホワイトニングで白くする方法。
どれもお手軽で簡単に出来る方法を追求し提供してくれています。
セルフケアの予防歯科とは?
言葉の意味は、単純に『自分で口腔内を綺麗に保つこと』です。
この事は、歯科医と言う存在が無かったころから人々の間では脈々と受け継がれてきています。
更に現代では専門的な知識も豊富に取り入れられておりその方法はドンドン高度になって来ています。
中には、プロおもしのぐ知識を持っておられる一般の方も見受けられますね。
主に、親から子への伝授が一般的ですが、
世界的に見ても日本はとても進んだ口腔衛生の知識が国民全体に広がっていると言えるでしょう。
少しだけその歴史についてお話します、知っているようで知らなかった世界が見えてきて楽しいですよ。
口腔清掃の起源は
意外と思えるのですが、口腔内のケアは信仰と同時期に始まったと言われています(諸説あり)。
これは、世界共通なのです。
神様に祈るときなどに身を清める『禊(みそぎ)』の儀式があります。
この時に口の中も一緒に漱ぐ(すすぐ)事から始まったとされています。
このことは『健康の書』*ギリシャ哲学のアリストテレスがアレキサンダー王に書いて献上した書物に記述があるそうです。
また、紀元前1400年ごろのエジプトのパピルスにも歯磨きの記録が残っていたそうです。
私たちの習慣は、紀元前から始まっていたのですねとてもロマンのあるお話ですね。
では、日本はどうか?
仏教伝来の6世紀ごろに共に伝来したと言われており、インドから始まった歯木(しぼく)で歯面を擦り始めたようです。
仏教が広まった頃には、僧侶・公家などの上流階級が身を清める儀式として歯磨きを行っていました。
歯木から房楊枝へと変化しています。
房楊枝の使い方は3ステップあります。
1,ブラシ状になっている部分で歯をみがきます。
2,反対側の尖っている部分で歯と歯の間の汚れを取ります。
3,さらに柄のカーブで舌をこすりベロの掃除もしていたそうです。
では、歯磨き粉は?
以前は塩を使って歯磨きをしていたようです、これもまだ上流階級だけだったようで庶民に
歯の衛生管理の観念が浸透したのはもっと後のこと、
歯磨き粉が(砂の研磨剤)が普及してからで大事さと知識は行き届いていなかったため虫歯や、
歯周病になって歯を失う人が多かったそうです。
かの歌人松尾芭蕉がこんな句を残しています。
『むすびより はや歯にひびく 清水かな』
虫歯か歯周病で水を飲むのにも苦労していたようですね。
また中国伝来の方法に、『叩歯(こうし)』がありました。
叩歯とは、歯をカチカチ鳴らすことで歯の骨を丈夫にする噛む健康法で、
虫歯にもならないと言われていました。
歯ブラシの登場
江戸時代の末期の開国から明治初期頃に、
今の歯ブラシと同じ形のものが日本へ流入したと記録にあります。
日本で初めて作られた歯ブラシは、
西洋のブラシを模した『鯨楊枝』と呼ばれ鯨の骨を柄にして馬毛が植えられていました。
明治23年頃『歯刷子(はぶらし)』 大阪盛業会社が最初に歯ブラシと呼び出しました。
大正3年 『万歳歯刷子』 が登場。
このように発展してきた歯ブラシは、
当時まだとても高価で庶民の手には行き届いていませんでしたし、
日本には古来からお歯黒をする文化がありお歯黒を掃除するには房楊枝は欠かせないアイテムであったとされていました。
更に、動物の骨や毛で作られたものに対する毛嫌いされる方もまだまだ多くいたそうです。
広まってきたのは、明治後期大正時代に日常生活様式が西洋化されてきた頃のようです。
少し余談ですが、このお歯黒をつけるという習慣は既婚婦人の証明であったことはご存知でしょう。
実はその他にも虫歯予防の見地からも有効であったとされています。
お歯黒に使われていた成分で子供の虫歯予防や進行防止を目的とする歯科用薬剤が作られました。
しかし最近の日本では審美性の観点からあまり使われなくなりました。
ブラシ製造を専業とする業者も徐々に増えブラシ製造技術を発展させてきました。
しかし発売当時は全て手作業で行われていたため作業効率が悪く、
また歯ブラシも現在のような形や素材よりも劣るものでした。
そこで歯ブラシの企業は、より清掃性の高い歯ブラシの開発を求め大学病院などと共に研究を積み重ね、
昭和26年頃には、現代のようなナイロンと樹脂からなる歯ブラシが登場しています。
ナイロンと樹脂は大量生産が可能であるため画期的な発見であったと言えます。
さらに現在では年齢や用途によって歯ブラシの形や硬さなどが異なる多くの種類の歯ブラシが誕生しています。
また清掃補助具として以下のものも誕生しました。
・舌ブラシ 舌の上の口臭の原因になる舌苔を取り除く
・タフトブラシ 重なった歯の隙間や1番後ろの歯の奥など磨きにくい箇所を磨く
・歯間ブラシ 歯と歯の間の清掃や被せ物(ブリッジ)の下の部分を磨く
・デンタルフロス 歯と歯の隙間を磨く
さらに、研磨剤も砂などが含まれた歯を磨くためだけの物理的歯磨剤から、
歯を強くするためにフッ素などが配合された化学的歯磨剤に進化していきました。
そしてこのような清掃器具の研究開発の要素にブラッシング方法が加入していき、
近年では日本歯科医師会による口腔衛生の向上を普及、
啓発する運動や厚生労働省による歯科疾患の実態に関する調査なども行われるようになりました。
デンタルフロス 歯と歯の隙間を磨く
補足説明
デンタルフロスと歯ブラシは、
どちらを先に使えばいいのかご存知ですか?
先生にお聞きしたところ、下記の論文をご紹介下さいました。
歯間部プラークの減少とフッ化物保持におけるブラッシングとフロッシングの順番の違いによる効果:ランダム化対照臨床試験
『Journal of periodontology』
要約するとデンタルフロスで歯間の汚れを落としてから、歯ブラシで磨く順序が最も効率が良いそうです。
この研究は、歯ブラシ→フロス、フロス→歯ブラシのそれぞれの順番で口腔清掃を行う場合、どちらの方が歯間部プラークを除去できるか。
また、どちらの方が歯間部にフッ素化物が残るかを実験した論文です。
歯間部だけでなく全顎的にも、フロスをしてから歯ブラシを使用する方が、有意にプラークが減少するという結果もでました。
デンタルフロスで歯間の汚れを落とした後に歯ブラシで磨くとフッ化物が定着しやすいそうです。
ぜひ、この順序で口腔内のケアをして下さい。
参照元はこちらから。
日本歯科医師会 啓発運動一覧
https://www.jda.or.jp/enlightenment/
厚生労働省 歯科口腔保健関連情報
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/shikakoukuuhoken/index.html
ここまでは、セルフケアの歴史とも言えるものを見てきました。
プロケアの予防歯科とは?
歯科医学の渡来経路は、
中国を中継し漢学によるもの。
外国人、特にポルトガル人、オランダ人に等によるもの。
南蛮医学あるいは蘭医学の一科として渡来しました。
外国に渡り日本人が歯科医術を修得し、帰国後わが国に紹介したもの。
の4つであるといわれる。
とくに、シーボルトのように外科に長じたものは外科的歯科処置したといわれる。
外国人歯科医師の草分け的存在は、
W.C. イーストレーキが1860年(万延元年)横浜に来たのを最初とします。
1870年(明治3年)、新政府は「医学取り調べご用掛」をもとに、
ドイツ医学の導入を決定し、相手政府に指導者の派遣を要請した。
これに応えて翌年、早速ドイツより2人の指導者が来日し指導にあたった。
こうしてオランダ医学からドイツ医学へとの移行が始まっていきました。
一方、幕末から明治維新にかけての日本の歯科医療は
1) 口中医 ( こうちゅうい )
2)開業歯科医
3)主に義歯を製作していた入れ歯師
4)主に抜歯をしていた歯抜き師
5)街頭で歯薬売りおよび抜歯などをしていた香具師(やし)
に分類し現在の歯科医師の分業化ともいえる。
歯科という名称は、大化の改新末期大宝律令の医疾令で、
耳目口歯科と称されて以来、平安末期に口歯科となり、
平安桃山時代に口中科に変わってから明治まで使用されていた。
わが国最初の歯科専門医 小幡英之助さん。
1874 年(明治7年)発布の「医制」第37条に基づき、
翌8年からまず、東京、京都、大阪の三府において「医術開業試験」が実施された。
しかし、医制には「歯科」という名称はなく「産科、眼科、整骨科及口中科」とあり、
一専門医として「口中科」が明記されている。
すなわち、当時は、医師・歯科医師という身分制度はなく、
口中専門の医師として扱われ、医師は医歯一元制を採用していたようです。
そしてなんと、明治期には歯科医の番付表があったそうです。格付表ですね。
現代歯科の話
現代の歯科の話に戻りますが、歯科医に求められていることは、自分では出来ない専門的な処置ですね。
歯科医にご相談くださる方は、歯石や歯垢を取りたい方や、
虫歯の有無を定期的にチェックにお見えになる方などなど、
さらに、歯を白くホワイトニングを希望する方や、口臭が気になるために来院なさる方などです。
世の中の清潔志向の高まりや審美的な要求度の高まりなどにより、
ホワイトニングやドライマウス(口臭)などを気にする患者が増えてきています。
そして、もう一つの傾向としては、高齢化医療があります。
高齢化と言っても、いわゆる老人のことではありません。
従来の単なる高齢者というくくりではなく、
今後の高齢化社会において時代をリードしていくと思われる団塊世代を含んだ
50代以上の生活者「エルダー世代」(ELDER:年長者・先輩)のことです。
かつての高齢者とは違い、
エルダー世代は自由なお金と時間を持った金時(きんとき)持ちなどと呼ばれたりもします。
長い人生経験を積み、多種多様な意識を持った魅力的な世代です。
時代の流れのなか、医療業界でも高齢化対応が進んできています。
この高齢化医療とは、老化を研究する老年医学のことではなく、
老化に抵抗するための医療です。歯医者では口腔ケアをすることで貢献できていると言えます。
すなわちアンチエイジング医学のことです。
機会があれば、このアンチエイジング医療についても触れてみたいと思います。
まとめ
歯磨きの歴史はいかがでしたか?人類は紀元前から口腔清掃をはじめ、
清掃器具に関しては、より適した形をもとめ技術を磨き改良を重ねることで現在の形が人々に定着しました。
歯磨剤や清掃補助具に関しても日々研究が進んでいます。
このように便利に健康が手に入れられる時代であるからこそご自身の状態に合った清掃器具を選択し、
正しい使い方をマスターすることが大切です。
全身の健康と関係の深い歯を守るために、日々のオーラルケアを大切にしてまいりましょう。
(参考文献 改訂歯ブラシ事典・見て楽しい歯的博物館)
最後までお読みいただきありがとうございました。
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