虫歯・歯周病

健康は口から。健康増進に向けた8020運動の現状と課題

最初に

厚生労働省は2023年6月29日、令和4年歯科疾患実態調査結果の概要を発表したことを受けて今回は8020運動についてブログを書いてみます。

日本では、高齢化や生活習慣病の増加により、健康な生活を送ることが重要視されています。その中で重要な取り組みとして、8020運動が挙げられます。8020運動とは、2025年までに、成人の80%が健康寿命を20歳以上延ばすことを目標として掲げた国民的な取り組みです。

20 本以上の歯を有する者の割合の年次推移(%)(表は厚労省HPより引用)

現状の8020運動

8020運動は、日本政府や地方自治体、さらには企業や市民団体など、さまざまなステークホルダーが一丸となって推進しています。具体的な取り組みとしては以下のようなものが挙げられます。

8020運動の取り組み

  1. 健康診断の普及:8020運動の成功には、健康診断の普及が不可欠です。健康診断を受診することで、早期発見や適切なアドバイスを受けることができ、健康寿命の延伸に寄与します。
  2. 健康情報の啓発:メディアやウェブを活用して、健康情報の啓発が行われています。健康的な食事や適度な運動の重要性を広く一般の人々に伝えることで、健康意識の向上を図っています。
  3. 健康づくりのための環境整備:歩行者優先のまちづくり、スポーツ施設の整備、職場での健康づくりの取り組みなど、健康づくりをサポートする環境づくりが進められています。

20 本以上の歯を有する者の割合の年次推移(グラフは厚労省HPより引用)

課題と改善の方向性

一方で、8020運動を推進する中で様々な課題も浮き彫りになっています。その中でも特に重要な課題と改善の方向性を以下にまとめてみます。

  1. 根本的な健康意識の向上:日本の社会では、依然として「病気になってから対処する」という反応型の健康意識が根強く残っています。8020運動の成功には、予防的な健康意識の醸成が不可欠です。

8020運動を成功させるためには、国民一人ひとりが主体的に健康づくりに取り組むことが不可欠です。個人が健康的な生活を送ることで、健康寿命を延ばすだけでなく、医療費の削減や生産性の向上など、社会全体に多くのメリットが生まれることも重要なポイントです。

以下に、個人が健康づくりに取り組むための具体的なアプローチをいくつか挙げてみます。

  1. 日常の運動習慣:適度な運動は健康を維持するために欠かせません。ウォーキングやジョギング、サイクリングなど、気軽に取り組める運動から始めてみると良いでしょう。
  2. 健康的な食生活:バランスの取れた食事は健康の基本です。野菜や果物を積極的に摂取し、食事の栄養バランスに気を配るようにしましょう。また、食事の際にはゆっくりと噛むことや食事の時間を大切にすることも大切です。
  3. ストレス管理:ストレスは健康に悪影響を及ぼす要因の一つです。自分に合ったストレス発散法を見つけることや、リラックスする時間を設けることが大切です。
  4. 禁煙や適度な飲酒:タバコやアルコールの過剰摂取は健康に害を及ぼす要因です。禁煙や適度な飲酒を心がけることで、健康への負担を減らすことができます。

8020運動の成功に向けては、個人の取り組みだけでなく、社会全体の支援も重要です。政府や地方自治体は、健康づくりを促進する政策や予算の充実、健康情報の信頼性の確保など、環境づくりに努める必要があります。

また、企業も従業員の健康管理を重視し、ストレス軽減のための取り組みや健康増進プログラムの提供など、健康づくりをサポートする体制を整えることが求められます。

1歳以上の歯ブラシの使用状況の年次推移(表は厚労省HPより引用)

歳以上の歯ブラシの使用状況の年次推移(グラフは厚労省HPより引用)

虫歯の現状

永久歯において、5〜9歳で処置歯または未処置の虫歯をもつ人の割合は3%を下回ったが、25歳以上では80%以上と高く、特に45〜49歳、55〜59歳、65〜69歳では100%に近い値を示した(下の図参照)。

5歳以上で永久歯にう歯をもつ者の割合の年次推移(%)(表は厚労省HPより引用)

まとめ

8020運動は、日本の未来の健康を担保するために非常に重要な取り組みです。健康な社会を築くためには、個人の意識改革と社会全体の支援策が必要不可欠です。私たち一人ひとりが健康づくりに取り組み、政府や企業、地域社会と連携して8020運動を推進していくことで、日本全体の健康水準の向上と、より豊かな社会の実現に一歩近づくことができるでしょう。

最後に

オーラルフレイルという言葉を聞いたことがありますか。オーラルフレイルとは「お口の衰え」のことです。「8020運動」は、80歳で20本以上の歯を保ち、何でもかんで食べられることを目指しています。「オーラルフレイル」は健康長寿をサポートするために発信されています。健康はすべてお口から。

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「⾷事中にむせることが多くなった」「⾷べこぼしをする」「 柔らかいも のを⾷べることが多くなった」「⼝が乾く」など

「オーラルフレイル」という新しい考え方

「オーラルフレイル」は、口腔機能の軽微な低下や食の偏りなどを含み、身体の衰え(フレイル)のことを言います。。この「オーラルフレイル」とは、健康と機能障害との中間に位置します、早めに気づき適切な対応をすることでより健康に近づきます。この「オーラルフレイル」の始まりは、滑舌低下、食べこぼし、わずかなむせ、かめない食品が増える、口の乾燥等ほんの些細な症状であり、見逃しやすく、気が付きにくい特徴があるため注意が必要です。下の図は⾝体の衰えの段階を表したものです。オーラルフレイルは「前フレイル」の症状です。

いつまでも健康で過ごせるように、ささいなお⼝の衰えを軽視せず早めに対策をしていきましょう。
⽇本⻭科医師会のホームページの「オーラルフレイルのチェックシート」のリンクをお伝えします。一度、チェックしてみてはいかがでしょうか。

オーラルフレイルチェック(⽇本⻭科医師会) http://www.jda.or.jp/pdf/oral_flail_leaflet_web.pdf

医療法人 エクラ会 歯科オーラルクリニック エクラ
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愛知県日進市の「歯科オーラルクリニック・エクラ」で受付事務をさせていただいております。発信しております情報が皆さまのお役に立てれば幸いです。

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