予防歯科

ガムを噛むだけのむし歯予防から全身の健康を守る

むし歯って!?

むし歯という病気に対して、どのようなイメージを持っていますか?歯が溶けて穴が開いて痛くなるというものでしょうか?

一般的にはそのようなイメージが強いと思いますし、間違ってはいないのですが、実は、むし歯は、放置して悪化させると死に至ることがあるという恐ろしい病気なのです。

むし歯で死ぬ?本当か?大げさな話なのではないか?と思われるかもしれません。しかし、実際に、外国のケースではありますが、むし歯が原因で死亡に至ったという報告が何件かされています。

死には至らないにしても、むし歯を放置して進行すると、歯の中の歯髄(しずい)の血管に炎症性の菌が入り込み、全身をめぐって、菌血症というものを引き起こします。健康な体であれば、免疫で菌を自然に排除することができるのですが、体力の落ちている人や子ども、高齢者などでは、いろいろな臓器で繁殖して、さまざまな病変を引き起こすことがあります。例えば、皮膚炎、関節炎、腎炎、心内膜炎などの原因となることが知られています。

引用:播磨歯科医師会

むし歯を悪化させると、全身の健康状態に悪影響を及ぼし、最悪は死に至ってしまうということがおわかりいただけたでしょうか。

さて、それでは、この状況を防ぎ、健康を保つにはどうすればよいのでしょうか?

もうおわかりかとは思いますが、それは、むし歯を予防するということなのです。

そもそもむし歯とはなんなのか?

歯の主成分は、ハイドロキシアパタイトという『リン酸カルシウム』です。
歯のエナメル質の97%、象牙質の70%がこのハイドロキシアパタイトという成分でできています。
非常に硬い性質がありますが、『酸に弱い』という弱点もあります。

歯垢の中にいるむし歯菌は、砂糖やブドウ糖を分解して酸に変えます。
その結果、酸に弱いハイドロキシアパタイトが急激に溶け出してしまい、むし歯の原因となります。

歯の成分が溶け出すことを『脱灰』といいいますが、脱灰の量が少ない状態であれば、
カルシウムイオンやリン酸イオンを歯に戻して修復する『再石灰化』によってバランスが保たれますが、
このバランスが崩れて脱灰のほうが多くなってしまうと、歯に穴が空き始めます。

どうすれば、むし歯にならないの?

むし歯にならないように意識してすべての生活を調整するということはなかなか難しいですが、実は、普段無意識に出している唾液が、むし歯対策とも関係しているのです。

唾液には、汚れを洗い流す自浄作用や、口の中の菌が増殖するのを抑える抗菌作用など、さまざまな力があることは知られていますが、歯の再石灰化にも重要な役割を果たしています。

歯の再石灰化には、カルシウムなどが必要ですが、歯には血管がありませんので、血液中からカルシウムなどを補給することはできません。
そこで、唾液中に含まれるリン酸とカルシウムを使って、歯の再石灰化を行います。

歯の再石灰化に必要なカルシウムやリン酸は唾液からしか補給できないため、
むし歯予防にとっても、唾液はとても重要なものとなります。

唾液を出すことくらいでしたら、簡単にできると思いませんか?

それでは、虫歯予防のためにも、唾液を増やすにはどのようにすればよいのでしょうか。

ガムを噛むだけ

水分補給をしたり、唾液腺をマッサージするということも大事ですが、「口をよく動かす」ということが最も効果的ではないでしょうか。食事をすることや会話をすることでも良いですが、最もお手軽にできるのが、「ガムを噛む」ということです。

ガムを噛むことで予防する

歯の再石灰化を促すためには、ガムを噛むこともおすすめです。
ガムを噛む咀嚼によって唾液が分泌され、ガムの甘みによって味覚を刺激する事でも唾液が分泌されます。
その際の分泌した唾液の効果によって歯の再石灰化のを行います。

最近のガムには、殆どと言っていいほどキシリトールが入っているので、みなさんもキシリトールという言葉はよく目にすると思いますが、
このキシリトールというのは、砂糖などの代わりに使用する代替甘味料です。

砂糖などの糖類は、むし歯菌が糖を分解して『酸』を作ってしまいますが、
キシリトールは砂糖などと違って、むし歯菌に酸を作らせないため、酸によって歯の主成分であるハイドロキシアパタイト溶け出す『脱灰』の原因になりません。

また、砂糖などの糖類は、むし歯菌に取り込まれるとむし歯菌の栄養になってしまいますが、キシリトールの場合は、むし歯菌に取り込まれてもむし歯菌の栄養になりません。
また、取り込まれた後にリン酸化して『キシリトール5リン酸』になり、むし歯菌に代謝阻害を起こさせます。
むし歯菌が代謝障害を起こすことによって、むし歯菌が減少する効果や、酸の生産も減少する効果があります。

キシリトールガムを噛むことは、この様な理由から歯の健康に良いと言われていますが、
しかしこれは、いわば『第2世代のガム』です。

歯の健康に良いガムも、今や『第3世代』とよばれる物まであります。

第3世代のガム『POs-Ca F(ポスカ・エフ)』

キシリトール入のガムが第1世代とすれば、
第2世代はキリリトール入という点に加え、シュガーレスにすることで、酸を作らせずに、酸によって脱灰した歯の再石灰化を促進してくれるガムという感じです。

これよりもさらに新しいのが『第3世代のガム』POs-Ca F(ポスカ・エフ)というガムです。
POs-Ca F(ポスカ・エフ)のすごい所は、再石灰化の促進にさらにプラスして、歯の主成分である『ハイドロキシアパタイトを再結晶化』してくれるガムになりました。

ハイドロキシアパタイトを再結晶化するということは、虫歯予防どころか、初期段階のむし歯を治す効果があるということです。

ハイドロキシアパタイトという物質を1つ構成するためには、カルシウムが10個とリン6個、水酸化物イオンが2個必要となります。

歯のエナメル質の97%、象牙質の70%がこのハイドロキシアパタイトという成分でできています。

歯を修復するために必要なカルシウムやリン酸は、唾液に含まれていますが、
残念ながら、唾液にはリン酸の比率に対してカルシウムが足りていません。

POs-Ca F(ポスカ・エフ)に含まれているリン酸化オリゴ糖カルシウムは、カルシウムを唾液中に溶かし、カルシウムとリンの比率を理想の割合に近づける作用があります。
それにより、唾液中のカルシウムのとリン酸の比率をハイドロキシアパタイトの比率と同じ『10対6』の比率に近づけて、最も歯に吸収されやすい状態を作ることができます。

今のところ、第3世代のガムと言えるのはこのPOs-Ca(ポスカ)のシリーズのみで、
POs-Ca(ポスカ)と、ポスカにフッ素を配合したPOs-Ca F(ポスカ・エフ)という商品があります。

ガムとしては初めて特保(特定保健用食品)を取った商品で、
WHO世界保健機構で唯一エビデンスがあるガムとして認められた予防ガムとして知られています。

歯科専用ガムですので、少し前までは歯科医院でしか購入することができなかったのですが、
最近では、Amazonは楽天市場などのネット通販でも販売している所がありますので、是非試してみてください。

ガムを噛むことのメリット

このガムを噛むことで唾液量を増やし、むし歯対策をし、全身の健康を守る。このような方法でしたら、とてもお手軽で、簡単に取り組みやすいと思います。

ただし、このガムを噛むということは、あくまでも補助的な方法だと思ってください。残念ながら、ガムを噛むだけで絶対にむし歯にならないかというと、そうではありません。

歯磨きの重要性の再認識

やはり、「歯磨き」が一番重要となります。

歯磨きにもおすすめの道具がありますので、そのあたりについてご説明します。

まず、歯磨きをするときに「歯ブラシ」だけでは足りません。①歯ブラシ、②デンタルフロス、③歯間ブラシの3点セットを必ず使うようにしてください。

歯ブラシは、歯並びの関係などがあり、人それぞれに合うもの合わないものがありますので、選び方については歯科医師に相談することが確実です。また、その際に上記3点セットの使い方も詳しく教えてもらいましょう。

歯磨き粉については、むし歯対策用のものとして、3Mという会社の「クリンプロTM 歯みがきペーストF1450」という商品がおすすめです。この商品は、再石灰化を行う成分である「カルシウム」と「リン酸」、再石灰化を促進して歯を強くする成分である「フッ化物」1450ppmが含まれています。3M社独自の技術で配合に成功したものであり、他の商品よりもむし歯予防に効果があります。

また、合わせて洗口液(マウスウォッシュ)を使うとさらに効果が上がります。虫歯予防の洗口液としておすすめなのが、前回の歯周病についての記事でもおすすめした、ウエルテック株式会社の「コンクールF」というものです。むし歯の原因となる細菌の繁殖を最大12時間抑制してくれます。

まとめ

いかがだったでしょうか。むし歯で死に至ることがあるという衝撃的な内容から書き始めましたが、いずれにしても、口は体の入り口です。むし歯を放置すると全身の病気につながってしまいます。何かと忙しい現代社会、歯医者に行くことがなかなか難しくても、ポスカガムを噛むことから、まずは気軽に虫歯予防に取り組み、健康な体を維持していきましょう。

医療法人 エクラ会 歯科オーラルクリニック エクラ
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Mia

歯科助手をしながら、歯科衛生士を目指しているMia(ミア)です。 人の役に立てるような仕事に就きたい、手に職を付けたいという思いから歯科衛生士を目指しています。患者さんからたくさん「ありがとう」と言ってもらえるように頑張っています。

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