毎年冬になると大規模な流行を繰り返すのが「インフルエンザ」
子供から高齢者まで幅広い世代で発症しあっという間に拡散する強い感染力を持っています。
インフルエンザ昨年より430万人減 過去5年で最も少ない見込み
引用:2020/03/23 17:30ウェザーニュース
過去5年の患者推計値を見てみると、最も多かった2017ー2018年シーズンは1400万人を超えていました。2019ー2020年シーズンはまだ途中ではありますが、3月23日発表時点で726万人に留まっており、医療機関の状況等に違いがあるものの、昨年の同時期(1156万人)と比べても約430万人減少しています。
インフルエンザの流行 この先収束へ
今シーズンの大きな特徴は、例年のピーク時期に患者数が増えなかったことです。
今シーズンは早い時期から流行が始まって12月までは昨シーズンを上回る報告数で推移しました。しかし、例年、患者数が急増する年末から年始に関してほとんど変化が見られず、1月20~26日の報告数は昨年の約3分の1に留まっています。
ウイルス対策が功を奏す形に
理由の一つとして考えられるのは新型コロナウイルスです。1月16日に日本で最初の感染者が確認されたこともあり、例年以上に手洗い等の対策が徹底して行われています。こうした対策はインフルエンザの予防と共通で、流行しやすい気象条件となった2月以降の寒波の際も、患者数の増加は見られませんでした。
みなさんはどんな方法でインフルエンザの予防をしていますか?
実はあまり知られていませんが、効果的なインフルエンザの予防法があるのです。
それは、口の中の汚れに関係しています。(大阪大学大学院歯学研究科 教授 天野 敦雄)
うがいも大事ですが「歯みがき」がもっと大事です。
一般的に風邪は「細菌」か「ウイルス」のどちらかが原因で発生します。
この2つは感染のメカニズムが違います。
細菌感染
「細菌感染」の場合は粘膜に付着するだけで炎症を起こし喉が痛くなったり、熱が出たりします。
ウイルス感染
一方、ウイルス感染は粘膜に付着しただけでは感染しません。細胞の中へ入り込むことで発症します。その時に重要な役目をしているのが「酵素」なのです。
インフルエンザウイルスの表面には「カギ」と「ハサミ」のような働きをする二種類の酵素があります。インフルエンザウイルスが喉の粘膜にくっついた後、一方の酵素が「カギ」を差し込んで細胞壁をこじ開けます。
そしてウイルスが細胞内に入り感染をします。そして、細胞の中で仲間を増やし増殖します。
そしてもうひとつの「ハサミ」を持った酵素が隣の細胞へウイルスを放出します。
こうして感染が拡大していきます。
そしてこの酵素を活発にする細菌があります。
その細菌の中で特に気を付けないといけないのが、細菌の中でもっとも最強なのが口腔細菌界の魔王!「歯周病菌」です。
引用:日本歯科医師会
歯周病菌が多いとさらに被害は拡大します。
左がインフルエンザ単独での細胞への感染です。右が歯周病菌が加わった時の感染です。
比べてみると時間の経過とともに右の方が広がりが大きくなっているのがわかります。
なぜ歯周病菌があると こんなに被害が拡大するのか?
歯周病菌はウイルスの酵素を活発化させる
活発化したウイルスがのどの細胞の中に入りやすくなってインフルエンザにかかってしまいます。
その上、厄介なことにプラークに棲みつく歯周病菌は抗生物質などの薬で撃退したり、除去することができません。
また、人間の免疫細胞でも、やっつけることができません。
歯周病菌はプラークごと、歯みがきで除去するしか方法がないのです。
日頃からお口の中をきれいにしていくことが一番、大事です。口腔ケアを行うと感染率が10分の1まで下がるというデータもあります。
そのためには、しっかりとした歯みがきとかかりつけの歯医者さんへ行って、みがき残しをとること。そして正しい歯みがきの指導を受けることが大切です。
正しい歯みがきのポイント
歯垢(プラーク)をしっかりと取り除くことが必要です。
歯垢(プラーク)は生きた細菌のかたまりで、むし歯や歯周病などの原因となります。歯垢(プラーク)は乳白色で歯と同じような色をしています、舌で触ってみるととザラザラした感触がします。
歯垢(プラーク)は、水に溶けにくく粘着性があるため歯の表面に付着してしまって、うがいでは取りさることができません。
歯磨きの目的は、この歯垢(プラーク)を取り除いてむし歯や歯周病などにならないようにすることです。
特に「歯と歯の間」、「歯と歯ぐきの境目」「かみ合わせ面」などは、歯垢(プラーク)がつきやすい箇所です。ハブラシの毛先でしっかり歯磨きしましょう。
歯みがきの方法や歯周病菌について疑問や心配なことがあればまずはかかりつけの歯医者さんに相談しましょう。