その他 口腔ケア 虫歯・歯周病

国民皆歯科健診とはどんな制度?実施時期や内容を徹底解説

「国民皆歯科健診」をかんたんに言うとどんな制度?

2022年6月の報道で話題になった「国民皆歯科健診」。
国は現在、高校までの歯科健診を義務づけています。しかし、これを進化させ、全国民が年に1回歯科健診を受診することを目指す新しい制度が計画されています。
この制度では、「義務」という言葉の重さを取り除き、国が費用を負担して全国民が年に1回歯科健診を受ける機会が提供されるということです。

日本全国民に対して毎年の歯科健診を義務づける

「国民皆歯科健診」提唱の背景

口腔機能の低下が全身疾患につながるケースが多く指摘されており、特に「歯周病」にかかっていることに気がついていない方も少なくありません。
口腔機能の低下を抑制するため、また、多くの国民が歯の健康を保つことが医療費抑制にも
つながるとの考えから議論されてきました。

歯科の受診率が低い

現在、日本では1歳半と3歳で歯科検診が行われ、小学校から高校まで毎年学校で歯科検診が実施されています。
しかし、大人になると自分で歯科検診を受けに行かなければならなくなり、そのために受診率が低下し、痛みなどの症状がない場合は歯科医院での受診を避ける傾向にあります。

歯周病にかかっていることに気がつかない

歯科疾患は進行すると治療が複雑になり、それに伴って医療費の負担も増加します。
歯周病を含む早期の疾患発見は、国民皆歯科健診を通して実現できます。
早期治療と重症化の予防により、医療費の負担を軽減できる可能性があります。
治療を進行させないためにも、早めの受診が通院回数を減少させる一助となります。

「日本人の8割が歯周病」?

厚生労働省の「患者調査の概況」(2017年)によれば、歯肉炎と歯周病の総患者数は398万3,000人(男:162万1,000人、女:236万3,000人)で、
前回の調査よりも66万人以上増加。5人に4人が罹患していることになります。
そんな他の病気も誘発する恐れのある歯周病から守ろうと、政府は『国民皆歯科健診』の導入を令和7年度を目安に義務付けると発表がありました。

日本人の歯周疾患の実態(「8割が歯周病」とは?)

歯周ポケット保有者の割合は年齢が増すにつれて高い傾向を示し、45歳以上では過半数を占めます。
また全年齢層の約4割の人に歯肉出血が認められます。近年、歯の保有状況が良好になってきたことから、歯周病に罹るリスクを有する歯が増えています。

歯周疾患を測る指標には様々なものがありますが、ここでは世界で広く用いられている地域歯周疾患指数(CPI: Community Periodontal Index)[1] [2]
よって評価されたデータと、歯周疾患に関連する自覚症状の保有状況について解説します。

歯周病は感染症!!コロナよりも恐ろしい!   過去のコラムへのリンク

歯周病がもたらす本当の恐ろしさ??    過去のコラムへのリンク

CPIの改定法[1][2]では歯周疾患の有病状況を歯周ポケットと歯肉出血の2つの面から評価し、わが国の全国調査である歯科疾患実態調査[3]でも用いられています。その有病状態は【図1】に示すとおりで、歯周ポケット(4mm以上)の保有者の割合は高齢者層で高値を示し、45歳以上で過半数を占めています。一方、歯肉出血がある人の割合はどの年齢階級も4割前後と概ね一定した値を示しています。


左の図1: 歯周ポケット(4mm以上)保有者と歯肉出血「あり」の割合

歯科疾患実態調査では歯周関連の自覚症状として「歯ぐきが痛い、はれている、出血がある」を有する人の割合が調査されています【図2】。65歳未満の成人では概ね15%前後、65歳以上の高齢者では10%強の人が歯周関連の自覚症状を有しています。歯周病はよく「無自覚のまま進行する」といわれますが、歯周病に関連する自覚症状を感じている人は、決して少なくないことがわかります。

左図2: 歯周関連の自覚症状(歯ぐきが痛い、はれている、出血がある)「あり」の割合

2025年度、国民皆歯科健診の導入へ。

日本政府は、2025年を目標に「国民皆歯科検診」の制度を導入する方針を固めています。具体的な時期や方法については未定ですが、政府・自民党では令和7年頃の導入を目安に掲げています。

この制度がスタートした場合、個人だけではなく、企業にも影響が生じる可能性があります。

国民皆歯科健診の導入のために準備しておくことはありませんが、企業の健康診断には歯科検診が含まれる可能性が示唆されています。

その際、企業のリーダーや健康診断担当部署は、全社員に対して歯科検診を実施する新たな課題に直面することが考えられます。

この背景から、制度の動向を確実にいち早く、把握しておくことが重要になります。

新しい制度の導入により、社員の健康促進だけでなく、企業の生産性向上や労働環境の向上にも寄与する可能性があります。

そのため、積極的に最新の情報を追跡し、変化に柔軟に対応することが求められます。

国民皆歯科健診

歯科健診を全世代へ…改正案概要判明(産経新聞 独自記事)

自民党の国民皆歯科健診実現プロジェクトチーム(PT、座長・古屋圭司元国家公安委員長)が今国会に議員立法での提出を目指す「歯科口腔(こうくう)保健推進法」改正案の概要が27日、判明した。


歯の健康が全身の健康や平均寿命にも影響するといわれる一方、現行の歯科健診は乳幼児期や児童生徒など10代以下と高齢者が中心で、働き盛りの世代で手薄である現状を踏まえ、全世代での歯科健診の重要性を訴えた。

改正案は、基本理念として新たに「国民が歯科口腔保健に関する正しい知識」を持つことや、虫歯や歯周病など歯科疾患の予防に向けて取り組むよう求めた。

個人に対する健診の義務付けは示さなかったものの、歯科健診について、現行の「定期的な検診」から、「生涯にわたる定期的な検診」とし、
年齢に関係なく健診を受けることで、疾患の早期発見と治療を促進することを求めた。

幅広い国民が歯科健診を受けることができる環境整備に向けた財政措置も提案した。

国民皆歯科健診は、昨年6月に政府が閣議決定した経済財政運営の指針「骨太の方針」に明記された。


口腔機能の低下が全身疾患につながるケースが指摘されており、多くの国民が歯の健康を保つことが医療費抑制にもつながるとの考えが背景にある。

ただ、歯科健診が義務付けられているのは1歳半と3歳児、就学時や小中高生の学校健診などに限られる。

40歳からは10年に1回、健康増進法に基づく歯周病対策の健診が全国市町村の
約75%で行われているが、全国平均の受診率は5%にとどまっている。

2022年6月に政府が「経済財政運営と改革の基本方針2022(骨太の方針)」を閣議決定し、その中で口腔の健康の重要性を強調しました。

具体的には、「全身と口腔の健康に関する科学的根拠を集める」「全身と口腔の健康に関して国民へ適切な情報を提供する」、そして「生涯を通じた歯科健診について具体的に検討する」の3つを挙げました。

特に注目すべきは、3つ目に記載されている「生涯を通じた歯科健診について具体的に検討する」点です。


これは、「国民皆歯科健診」として一般に知られる方針の基盤となり、この制度の下で国民が毎年の歯科健診を受診する義務が導入される可能性があります。

国民の口腔の健康を向上させるための新しい制度がどのように展開されていくかに注目が集まります。


この取り組みが、検索上位に位置する情報として広く認識され、国民に適切な口腔ケアの重要性を浸透させる一助となることが期待されます。

引用:産経新聞

社会保障としての歯の健康維持

「国民皆歯科健診」は、国民全体の医療費を抑制し、歯の健康維持を通じて社会保障を促進する目的で検討が進められています。

日本では、「8020運動」に基づき、歯を多く残すためには虫歯だけでなく歯周病の早期発見と治療が極めて重要です。


しかし、歯科健診の受診率は低く、現行の規定では1歳半と3歳の乳幼児、学校生活中の学生、歯に有害な化学物質を使用する業務従事者などに限定されています。

全国の自治体のうち約7割は、40歳から10年に1度の歯科健診を実施していますが、受診率は1割に満たない実態があります。

「国民皆歯科健診」では、歯科健診の対象を広げ、歯周病を早期に発見するための簡易検査を導入する予定であり、さらに、「歯科専門職による口腔の健康管理の充実」や市場価格に左右されない材料の導入も計画されています。

参考文献によれば、参議院議員の中心メンバーは、高校までの歯科健診を一年に一度全国民に義務化することで、国民の健康寿命を延ばし、国民医療費の適正化と国民皆保険制度の維持を図る狙いがあると語っています。


「この政策は口腔の健康を通じて全体の健康を促進する国の新しい健康政策となるでしょう。」と話しています。

ホームケアの重要性

国民皆歯科健診が義務化されても、年一回の健診だけでは不十分です。

歯磨きだけではプラークは除去しきれない

歯磨きだけだとプラークは61%しか除去できません。特に歯ブラシでは歯間部の清掃が不十分になりやすいことがわかっています。

歯ブラシで歯を磨くのはもちろんのこと、デンタルフロス・歯間ブラシも併用することが大切になります。それでもご自身でプラークを100%除去することはできません。

定期的なプロによる、歯のクリーニングを受診いただくことを勧めております。

歯科医院(クリニック)でクリーニングをいただく目安

  • 虫歯や歯周病リスクが高い人は1〜2ヶ月
  • 着色しやすい飲食物をよく摂取する人や喫煙をする人は2ヶ月
  • 歯磨きが苦手な人、歯並びが良くない人は1〜2ヶ月
  • セルフケアがしっかりできている人は3〜6ヶ月

どのくらいの期間でクリーニングをすれば、良いかなど、歯の健康について、お気軽にお問合せください。

※令和4年 歯科疾患実態調査結果概要が公開されました

歯の状況・8020達成者(80歳で20本以上の歯が残っている人の割合)

  • 8020達成者(75歳以上85歳未満の数値から推計)は51.6%で、前回平成28年の調査結果(51.2%)と同程度(17ページ 表15、18ページ 図15)

歯科検診の受診状況

  • 過去1年の間に歯科検診を受診した人の割合は58.0%で、男性より女性の方が受診率が高い傾向(32ページ 表26、図27)

歯肉の状況

  • 4mm以上の歯周ポケットを持つ人の割合は、全体では47.9%で、高齢になるにつれ増加傾向(22ページ 表19、図19)

令和4年 歯科疾患実態調査結果概要はこちらからご確認いただけます。

医療法人 エクラ会 歯科オーラルクリニック エクラ
  • この記事を書いた人
  • 最新記事
このか

conoca

愛知県日進市の「歯科オーラルクリニック・エクラ」で受付事務をさせていただいております。発信しております情報が皆さまのお役に立てれば幸いです。

-その他, 口腔ケア, 虫歯・歯周病