訪問歯科診療とは
歯科診療は患者さんが歯科医院に来て治療するのが通常の診療ですよね。
その代わりに、歯科医師や歯科衛生士が患者さんがいる介護施設などを訪問して、
歯の治療や口のケアなどの歯科診療するサービスのことを訪問歯科診療と言います。
でも、誰でも訪問歯科診療を受けられるわけではありません。
訪問歯科診療を受けられる患者さんは次のように決まっています。
ポイント1 訪問歯科を受けられる対象者
歯の治療や口のケアがしたいからと言って、誰でも訪問歯科診療を受けられるというわけではありません。
訪問歯科診療を受けることができるのは、次のような方と決められています。
具体的には介護が必要な方で自力通院が難しい方が訪問歯科診療の対象となります。
・介護認定を受けている高齢者
・介護老人保健施設や介護老人福祉施設に入所している高齢者
・障がいがあり身体が不自由な方、病気を持っている方
・歯科、口腔外科がない病院に入院している方
しかし、要介護者の9割に歯科治療または専門的口腔ケアが必要と見られますが、実際に歯科受診した要介護者は約27%
ということですので、訪問歯科診療はまだまだ介護施設には導入されていないようです。
引用:在宅歯科医療 現状と課題 より
ポイント2 在宅歯科診療と何が違うの?
訪問歯科診療と混同しやすい診療に、在宅歯科診療と言われるものがあります。
在宅歯科診療とは、いわゆる往診のことです。
急に歯の治療が必要になったにもかかわらず、歯科医院に自分では行けない患者さんの元へ訪問し、応急的な診療や処置をすることを在宅歯科診療と言い訪問歯科診療と区別しています。
急を要する、往診が必要な状況になる歯の治療というのはあまりないのではないかなと思います。
ポイント3 訪問歯科診療の内容
訪問歯科診療の内容は一般的に歯科医院で行われる内容とほぼ変わりはありません。
例えば、虫歯治療や歯石除去、歯周病や虫歯予防のための口の中のケアなどです。
しかし、医院内の機材を全部持っていくことは残念ながらできません。
ので、持ち運べる機材でできる範囲内での歯科診療となります。
専門スタッフによる口の中のケアやリハビリも受けることができます。
訪問歯科診療の治療内容については、別記事もご覧ください。
ポイント4 訪問歯科診療の患者で一番多い年齢層は?
訪問歯科診療の患者で一番多い年齢層は高齢者の方です。
特に要望が多い治療が、食べることが難しくなってきた、という内容です。
特に入れ歯に関する悩みが一番多いです。
入れ歯が壊れてしまった、入れ歯が合わなくて食べられない、といったことで悩んでいる方が非常に多くなっています。
入れ歯のトラブルで食べられないというのは、とても深刻な悩みですよね。
入れ歯が合わないというのは、多くの場合単に入れ歯の問題だけではありません。
歯周病やその他の歯や口の中のトラブルが原因となっていることがあります。
それらの治療と併せて入れ歯の修理、製作、口のケアをおこなっていきます。
とにかく、お年寄りが食事をおいしく食べられないというのは健康の問題だけではなく、生きる力や生活の質の低下に直結しますので、重要な問題です。
何とかお年寄りの方々のお力になりたいと思っての訪問歯科診療です。
また口の中が汚れていると、怖い誤嚥性(ごえんせい)肺炎を引き起こすリスクもあります。
なお誤嚥性(ごえんせい)肺炎とは、本来唾液や食べ物などが食道を通って胃に入っていくのを間違って、口の中の細菌と一緒に気管から肺に入ることで肺炎になることを言います。
飲み込む力が弱ったお年寄りには特に怖い病気だといわれています。
誤嚥性(ごえんせい)とは聞きなれないことばかと思いますが、食べ物や飲み物、あるいは唾液などを飲み込むことを嚥下(えんげ)ということから来ています。
食べる意欲を回復させるための口の機能のリハビリも訪問歯科診療の一部となっています。
診療内容によっては訪問歯科診療だけでは対処できず歯科医院などで受診することが必要なときもあります。
ポイント5 訪問歯科診療のメリット
訪問歯科診療には次のようなメリットがあります。
歯科医院へ行かなくても、介護施設で歯科治療を受けることができます
訪問歯科診療は、介護施設などお年寄りが普段の生活の場で受診できるということが最大のメリットです。
ご本人や介護をされる方の負担が少なくなります。
介護が必要な方が歯科医院へ通院するとなると、 着替えをしたり、車を用意する必要があります。
それだけで、ご本人はもとより介助する方にとって、身体的にも精神的にも負担になってしまいます。
その負担がなくなります。
リラックスして治療を受けることができます。
患者さんは普段生活している場で受信できるので、不安や孤独感を感じなくリラックスして治療を受けることができます。
認知症の方は環境が違うと不安になりますが、普段の慣れた環境で治療することで精神的にかかる負担を減らすことができます。
孤独感がなくなります。
ご家族や介護の方が話し相手となるため孤独にならないといったメリットもあります。
感染症のリスクを避けられます。
感染症が流行っている時期でも、不特定多数の人とかかわることがないので、感染リスクを避けることができます。
コロナが流行っている今の時期にも大勢の人と接することなく診療できるのもメリットです。
訪問歯科診療のメリットについては、別記事もご覧ください。
新型コロナウイルス(COVID-19)感染対策については、別記事もご覧ください。
ポイント6 訪問歯科診療のデメリット
訪問歯科診療には次のようなのデメリットがあります。
外来で診察を受けるよりも、多少料金がかかってしまいます。
訪問歯科診療での診療は保険診療となりますが、治療費や指導料などが外来で治療されるよりも少し多くなります。
金額がかかってしまいます。
治療内容に制限があります。
訪問歯科診療は基本的に、外来の治療内容と同じ治療を受けることができます。
しかし訪問歯科診療では機材など全てが揃っている訳ではありませんので、治療内容が制限されることもあります。
治療内容によってはすぐに対処するのが難しい場合もあります。
治療内容によっては機材などの都合ですぐに対処するのが難しい場合もあります。
その場合は、通院してもらう必要があります。
ポイント7 介護職員にもできる日常の口のケア
訪問歯科診療で治療するのは大事ですが、日常の口のケアはとても重要です。
それができるのが介護職員です。
もちろん医師や歯科衛生士のように治療はできません。
しかし、介護職員でもできる日常の口のケアはとても重要です。
それは日頃の口の中を清潔に保つだけではなく、唾液を出しやすくしておいしく食事ができるようになります。
口の中のケア方法例
口の中の状態を確認します。
先ずは、.口の中の出血、腫れ、口臭などをチェックし、可能であればご本人に気になる個所があるか聞きます。
次の訪問歯科診療の際に参考になります。
うがいをしてもらいます。
のどのガラガラうがいではなく、口の中のブクブクうがいです。
口の中をきれいにするだけでなく、頬を左右に膨らませて動かすだけで口の体操にもなります。
歯磨きはできるだけ自力でおこなってもらいます。
歯磨きをご自身でできる方には、できるだけ自力でおこなってもらいます。
そして磨き残しがある場合は介助します。
手が不自由な方であれば、電動歯ブラシを使用する方法もあります。
最後にうがいをしてもらいます。
以上のことが介護職員が利用者におこなえる介助になります。
日常で口の中のケアをしっかりおこなっておけば虫歯や歯周病などの病気のリスクも減ります。
ご本人も食事もおいしくいただくことができ、健康でいられますので、介護する方は患者さんの口の中の状況を日頃から把握しておくことが大切です。
まとめ
- 歯科医師や歯科衛生士が患者さんがいる介護施設を訪問して、歯科診療することを訪問歯科診療と言います。
- 介護が必要な方で自力通院が難しい方が訪問歯科診療の対象となります。
- 在宅歯科診療とは、いわゆる往診のことで、訪問歯科診療とは異なります。
- 訪問歯科診療の内容は一般的に歯科医院で行われる内容とほぼ変わりはありません。
- 訪問歯科診療の患者で一番多い年齢層は高齢者の方で特に入れ歯に関する悩みが一番多いです。
- 訪問歯科診療は介護施設で歯科治療を受けることができるので高齢者の要介護者や介護する方にとってメリットが多いです。
- 訪問歯科診療は機材など全てが揃っている訳ではありませんので、治療内容が制限されることもあります。
- 介護する方が要介護者の日常の口のケアをしてあげることが大事です。
訪問歯科診療の依頼は、入居施設からの依頼が最も多いです。
引用:在宅歯科医療 現状と課題 より
最後までお読みいただきありがとうございました。
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