みなさん、こんにちは。
「アロマを使った口腔ケア」というタイトルをご覧になって、何のことだ?アロマと口腔ケアが関係あるのか?とお思いになり、興味を惹かれてこの記事を読み始められた方が多いかもしれません。今回は、当医院(歯科オーラルクリニック・エクラ 愛知県日進市)が行っている、アロマを使った口腔ケア・歯科治療のご紹介です。
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ホームケアの重要性
みなさんは、口腔ケアはしっかりとされていらっしゃるでしょうか?どういうことをすれば良いのか?と思われるかもしれませんが、何も難しいことではなく、口腔ケアで一番大切なのは、毎日自宅で行う「ホームケア」なのです。自宅で適切な口腔ケアを行うことが歯にとっては最も大切なことなのです。
では、具体的にはどのような口腔ケアをすれば良いのか?と思われるでしょう。小学校で歯磨きについて詳しく習ったので、その通り実践しているという方も多いのではないでしょうか。それはそれで間違ってはいないので、そのまま続けていたいただければと思います。
ただ、小学校で習ったのは、あくまでも「歯ブラシ」を使った歯磨きで、磨き残しの無いように磨く方法というのがほとんどだと思います。口腔ケアの理想としては、その「歯ブラシ」で磨くことに加えて、デンタルフロスと歯間ブラシを合わせて使用するのが良いのです。歯ブラシ、デンタルフロス、歯間ブラシ。この3点セットを使っての口腔ケアが基本となります。これらを使って普段からしっかりと口腔ケアをしていれば、虫歯や歯周病を予防することができます。
ただし、学校では指導してもらっていないケアの方法なので、どのようにすればよいのかわからないこともあると思います。そのようなときは、歯医者さんに行って、歯科医師の指導を仰ぐようにしましょう。また、方法が分かってホームケアを続けているときでも、絶対歯の病気にかからないということはありませんので、定期的に歯医者さんに行って検診を受け指導を仰ぎ、治療を受けるようにしましょう。
アロマの話からはそれてしまいましたが、とても大切なことなので最初にお話ししました。
アロマを使った口腔ケア
さて、その定期検診や治療ですが、普段のホームケアとは違った環境ということもありますし、その際に「アロマ」を使用されてみてはいかがでしょうか。当医院では、ご希望の方にアロマを使ったケア・治療をしております。そのことについては、こちらをご覧ください。
アロマと一言に言っても、ピンからキリまでいろいろなものがあることが事実です。その中でも、当医院で使用しているものは、「doTERRA(ドテラ)社」という会社のものです。この会社は、世界中にアロマオイルの原料の産地を持っているのですが、現地の農家との契約による現地の貧困対策などにも取り組んでいる、とてもすばらしい理念を持った会社なのです。もちろん、その契約栽培された原料から作られ、数々の厳しい検査を通り抜けたアロマオイルが格別なものであることは間違いありません。
一部の日本製のエッセンシャルオイルはアルコール濃度が高いために、直接肌に塗ることはできませんが、こちらのものは安全で効果も高く、先進国では医療の現場で使われることもあります。このようなすばらしいものを歯科医院で使用しているのは日本では珍しいのではないかと思いますので、ぜひ体験されてみることをお勧めします。
(画像と動画の引用元:ドテラ・ジャパン公式ウェブサイトドテラ・ジャパン公式ウェブサイト | doTERRA Essential Oils)
「アロマセラピー」?「アロマテラピー」?と疑問を持たれた方もいらっしゃるかと思います。「アロマセラピー」は英語(イギリス)由来で、美容を目的とした概念などを意味するのに対して「アロマテラピー」はフランス語(フランス)由来で医療を目的とした概念などを意味するということではありますが、現状、日本ではこの2つの語は混同して使われているということが事実です。当医院では、「アロマテラピー」という語を採用しております。
このアロマを使った治療ですが、当医院では主に、香りで緊張を取り除いたり、首に塗ることで痛みや腫れを和らげてくれたりするリラクゼーションの目的で使用しております。
しかし、次にお話しますが、アロマには、それに加えていろいろな効果があります。それらの効果も合わせて期待することができるのです。
アロマの効果
さて、その効果というもののひとつが、「自律神経を整える」というものです。人間の体には、「五感」と呼ばれる機能が備わっています。視覚、味覚、嗅覚、触覚、聴覚がそれですが、他の4つが、知性を担当している大脳新皮質に伝わるのに対して、嗅覚だけは、感情などの本能的な機能を担当している大脳辺縁系へとダイレクトに伝わります。そして、そこから近く、自律神経を司っている視床下部へと伝わり、自律神経を整えることになるのです。
香りが自律神経に及ぼす影響については、研究結果が報告されていますので、以下に引用しておきます。
Lavender,Rosemary,CitrOnellaの 3つ の精油を吸入 した際の自律神経系 に及ぼす作用 について調べた。Lavenderの 香 りは,交 感神経系を抑え,精 神 ・心理面 だけでな く身体 的 に もリラックス効果をもた らした。
逆にRosemaryの ように精神 ・心理 的に リフ レッシュ ・ス ッキ リとした気分を感 じさせ るような香 りは,そ の作用 によって一過性に交感神経系を刺激す る効果を持 っていることが考え られた。
嗜好 において個人差 の大 きな CitrOnellaのよ うな香 りでは,精 神 ・心 理面 にも被験者間でかな りば らつ きがあり, 自律神経系への効果 も複雑であった。
(『香りが自律神経に及ぼす影響』日本看護研究学会雑誌 Vol.23 No.4 2000 より抜粋して引用。)
上の研究結果から分かるとおり、香りの種類にもよりますが、香りが自律神経に作用していることは明らかです。
さて、この自律神経を整えることによってどのようなことにつながるのでしょうか?
それは、「免疫力」を上げることにつながるのです。免疫が正常に機能するためには、自律神経がバランスよく働いていることが必要です。自律神経には、日中優位になる交感神経と、リラックスしているときに優位になる副交感神経があり、このバランスが大切なのです。アロマでの香りの効果は、この自律神経の調整から免疫力を上げることにつながるのです。
免疫力が上がれば、今世界中で猛威を振るっている新型コロナウイルスや、冬に流行するインフルエンザなどにも打ち勝つことができるようになるのです。
少しアロマと歯医者の話からそれますが、この自律神経を整えるのには、普段の生活の仕方も意識した方が良いです。規則正しい生活をし、軽い運動をし、バランスの良い食事をし、良質な睡眠を取るなど、普通のことではあるのですが、忙しい現代社会では軽視されがちなことばかりなので、ぜひこれらのことには注意して生活していただきたいと思います。
この生活に加えてアロマを使うことで免疫力を上げ、ウイルスに打ち勝っていきましょう!
アロマの効果の2つ目として、認知症の改善をあげることができます。このことについては、研究結果が報告されていますので、そちらを引用しておきます。
アルツハイマー病(AD) 10例を含む高齢者28例を対象として,コントロール期間の後アロマセラピーを実施し,それぞれ前後で検査を行ないその有用性を検証した.
全員に GBS スケールの自己に関する見当識の有意な改善が見られた.効果は AD 患者,また軽度~中等度 AD患者においてより著明であり,知的機能の総点でも有意に改善した.
生化学,血液一般,介護職員に対する Zaritでは有意差はなかった.AD患者への非薬物療法としてアロマセラピーの有用性を見出した.さらに Zaritより,この改善効果は介護者の負担軽減によって患者評価が改善したものではないと考えた.
血液一般,生化学検査等により安全性も確認できた.
(『アルツハイマー病患者に対するアロマセラピーの有用性』Dementia Japan 19 : 77-85, 2005 より抜粋して引用。)
(なお、この論文の内容は、第23回日本痴呆学会で発表されたものです。)
このように、アロマが、認知症(正確には、認知症のひとつの類型であるアルツハイマー病)に有用に働くことがわかりますね。
当医院では、認知症で来院することのできない患者さん宅に訪問する訪問歯科診療を行っております。そしてこの訪問歯科診療の際にアロマを使用した治療を行っています。これには上の研究結果のような、認知症の改善という効果の期待もあります。また、認知症の患者さんは、一般に五感が鈍っているので、アロマを使って緊張をほぐし、恐怖心や嫌な感情を払拭してから治療に入るという意味もあります。
アロマの効果の3つ目ですが、アロマには「抗菌効果」が備わっているのです。アロマ精油は、植物に由来するものですが、植物は動物と違って自ら動いて身を守るということができません。そこで、自分の体の中に菌などの外敵を防ぐ成分を蓄えているのです。その植物から採る精油を使ったアロマには、その成分がしっかりと含まれているのです。
このことも、新型コロナウイルスやインフルエンザの予防につながるという、今現在とても身近な話題となるのです。
ティートリーという、オーストラリアの植物を原料にして作られるアロマ精油があるのですが、これには、抗菌効果や抗ウイルス効果があります。第二次世界大戦までは、オーストラリアの全兵士に渡されていたそうです。それが、戦後に状況が変わりました。
今、新型コロナウイルスのワクチンで話題となっている会社に、「ファイザー社」という会社があります。このファイザー社が抗生剤を多量に販売したために、精油は治療用として使われなくなったそうです。
余談となりましたが、今話題のファイザー社とアロマの関係を見つけたのでお話してみました。
さて、いかがだったでしょうか。口腔ケアで一番大切なのはホームケアですが、それに加えた定期的な検診などの際にアロマを用いた治療をぜひ行ってみてください。
皆様と当医院でお会いできることを楽しみにしております。