こんにちは。
いつもとはずいぶん方向性の違うタイトルに、違和感を持たれる方が多いかもしれませんね。
みなさんは、歯医者にどのようなイメージをお持ちですか?虫歯になったときに行って診てもらい、その虫歯を削って詰めるという治療をしてもらう場所でしょうか?
確かに、歯医者というとそのイメージが強いですよね。決してそのイメージが間違っているわけではありませんが、歯医者では虫歯の治療以外にも様々な治療を行っているのです。
例えば、歯周病の治療、口臭の治療、インプラント、入れ歯、矯正、予防歯科、ホワイトニング・・・これらは一例ですが、全て当医院(愛知県日進市の「歯科オーラルクリニック エクラ」)で実施している内容です。
今回のお話は、この様々な治療内容の中の、ホワイトニング、矯正、MFT(口腔筋機能療法)というものについてです。イメージの強い虫歯治療の歯科治療とは違う、どちらかというと美容系の内容のお話となります。
美人の基準
さて、美人の基準はどのようなところにあるでしょうか?姿勢や態度なども大切ではありますが、やはり、一番重要となるのが「顔」ですよね。美人、美男と判断するには顔の印象が大切なのです。
その顔の中でも、どの部分が美人の条件には大切だと感じるでしょうか?目でしょうか?鼻でしょうか?口でしょうか?それとも耳でしょうか?感じ方は人にもよるとは思いますが、他人の顔のどの部位に最も強い印象を受けるかについての調査で、一番は目、次が口元という結果が報告されています。
確かに、自分が人と会う時のことを想像すると、無意識に相手の目や口元から受ける印象で相手を判断していると思います。
今回お話するのは、歯医者のブログですので、目ではなく、口元についてです。
美人の新しい基準
2000人の顔を分析したという、歯科医師の是枝伸子先生が、その分析の結果、美人かブスかは顔の「下半分」で決まるという新しい基準がわかったというお話をされているので、以下に引用します。
“世界基準”の美人顔に疑問を持った私は、美人はもちろん普通の人の顔写真も集め、何千人もの顔を計測しました。そこでわかったのが、世界的な黄金比率とは違う、日本女性には日本女性としての美人の基準があるということでした。
それが、私が発見した、FP=フェイシャルプロポーションとLP=リッププロポーションという新しい美人基準です。
FPとは、顔の上半分と下半分の比率。そして、LPとは、顔の下半分における鼻の下から口のラインまでの長さの割合のこと。この2つのバランスさえ整えれば、日本人としての美人顔に近づくことができるということがわかったのです。
FPとLPについて、イラストを使って詳しくご説明しましょう。
FPとは、鼻の下からあごの先までの長さ(B)を、眉頭から鼻の下までの長さ(A)で割った数値であらわします。
美人は、ほぼこの数値が0.85~1の間に収まります。顔の下半分と上半分がほとんど同じ長さ、もしくは、顔の下半分のほうが少し短い、というバランスです。
次にLPは、鼻の下からあご先までの長さ(B)を、鼻の下から口のラインまでの長さ(C)で割った数値で、この数値が2.8~3に収まるのが美人顔。
つまり、鼻の下から口のラインまでの長さが、顔の下半分の長さの3分の1程度が美人のバランスということです。このFPとLPの両方が美人バランスにあてはまる人こそ、美人であると言えます。
(講談社 現代ビジネス インターネット版の記事より引用美人かブスかは顔の「下半分」で決まる! 歯科医師が2000人を分析してわかった美の新基準(是枝 伸子) | FRaU (ismedia.jp)。)
さて、これが是枝先生が述べる新しい美人の基準なのですが、今の世の中において、このイラストを見て何か思い当たることはないでしょうか?
下半分は「マスク」で隠れる!ということですよね。
今は、世界中で猛威を振るっている新型コロナウイルスの影響で、好むか好まざるかにかかわらず、人に会うときはマスクを着けるということがほとんど義務のような生活となっています。そのような生活の中では、上のイラストにある、顔の下半分、BとCの部分は完全にマスクの下に隠されることとなります。
そこで問題となるのは、人と会ったとき(特に初対面の場合)、相手が顔の印象を主に「目」からしか判断できないということです。上の新しい美人の基準が、判断基準から必然的に外されることとなるのです。
「マスク美人」「マスクイケメン」
そこでどのようなことが起きるかというと、「マスク美人」「マスクイケメン」問題です。マスク生活が長くなったことによって聞かれるようになったこれらの言葉ですが、いったいどういった意味なのでしょうか?「美人」「イケメン」というプラスのイメージを使った言葉なので、聞こえが良いように思えるのですが、実際はプラスの意味で使われている言葉ではないのです。
ここでみなさん自身の経験を思い起こしていただきたいと思います。
マスクを着けている初対面の人と会ったときの印象はどのようなものだったでしょうか?相手にもよるとは思いますが、マスク無しの状態で初対面の人に会っていたときに比べると、美人に見える確率、イケメン(美男子)に見える確率が高いとは感じないでしょうか?
このことが問題となるのです。新しい環境で同僚と付き合う場合でも、取引先の相手方と付き合う場合でも、好意を抱いている異性との付き合いにおいても、いつまでもマスク越しの付き合いばかりが続くわけではありません。付き合いが深くなれば、会食の場などで、マスクを外す機会が必ず出てきます。一定の期間マスク越しでの付き合いをしていて、マスクを着けた顔が印象にあるので、初めて見る素顔が、思い描いていた印象と違って驚いたり、落胆したりすることが多いといいます。
マスクをしていれば美人、マスクをしていればイケメン。しかし、いざマスクを外してみると、そうでもなくがっかり。
これが「マスク美人」「マスクイケメン」という言葉の真実の意味なのです。
この事実からも、上に引用した是枝先生の、顔の「下半分」の印象というのがとても重要で、美人・美男の基準となっているということが分かりますね。
それでは、なぜこのような残念な勘違いのようなことが起こってしまうのでしょうか?
アモーダル補完
アントワープ大学とケンブリッジ大学の哲学教授Bence Nanay先生が、このことについて、次のように述べています。
この現象は、「アモーダル補完」という視覚の機能で説明できる。これは、見えない部分を脳内で補って認識するという機能である。初対面の人がマスク姿で、鼻と口を見たことが無い場合、今まで見てきた人々の鼻と口を平均化して当てはめている。平均化といっても、脳には、心地よいとと感じる美しいものほど記憶されやすいため、その影響で、美化されたものを平均化して当てはめていることになる。
(この記事本文は、英語ですが、こちらで読むことができます。Why Do People Look Better in Masks? | Psychology Today)
ここで、マスクをしているかいないかで印象はどのように変わるか、アモーダル補完とはどのようなものなのかを実感していただくために、同じ男女のマスクをしている写真とマスクをしていない写真をご覧いただきたいと思います。
まずは、マスクをしている写真です。この写真を記憶に置いて、同じ男女のマスクをしていない状態の写真をご覧ください。
いかがでしょうか?少し写真の角度は違いますが、同じ人物です。マスク姿からイメージする顔とは違ったでしょうか?アモーダル補完を実感できたでしょうか?多少なりともイメージとは違う顔だったのではないかと思います。
(※この写真は、あくまでもマスクの有り無しでの印象の違い、アモーダル補完を実感していただくために使用したものです。決してモデルさんの美醜を評価するものではないことにご留意ください。)
「マスク美人」「マスクイケメン」を作り出すのは、脳の機能なのですね。しかし、「マスク美人」「マスクイケメン」と言われたり思われたりしてしまうのは嫌ですよね。「マスクを取っても美人」「マスクを取ってもイケメン」と言われれば、自分も気分が良いものですし、その後の人間関係を築いていくうえでも、円滑に物事がうまくいくことにつながると思います。
歯医者が「取っても美人」「取ってもイケメン」を目指すお手伝いをします
そこで、「マスク美人」「マスクイケメン」のその先、マスクを取っても美人、マスクを取ってもイケメン(呼びやすいように、「取っても美人」「取ってもイケメン」と名付けることにしましょう)を目指すため、顔の「下半分」の良い印象を作るお手伝いができるのが、歯医者なのです。
その方法というのが、最初にお話ししていた、ホワイトニング、矯正、MFT(口腔筋機能療法)というわけです。
是枝先生の発見された新しい美人の基準は、顔のバランスについてのものですが、実は、バランスが整っているというだけでは、必ずしも美しいとは言い切れないのです。
それはどういうことかと言いますと、たとえバランスが整っていたとしても、顔の「下半分」にある口元がきれいでなければ、相手に「美しい」という印象を与えることができません。
ここで一つ画像を見ていただきたいと思います。
顔写真の、歯の色だけを変えた画像なのですが、いかがでしょうか?左の黄ばんだ歯よりも右の白い歯のほうがずっと清潔感があり、きれい、美しいという印象を受けますよね。
ただマスクを外した時の顔のバランスが整っていたとしても、このように、歯が美しくない状態だと、あまり相手に良い印象を与えることはできません。
笑顔が相手に好印象を与えるということは、今までの経験上よくお分かりだと思います。そして、その笑顔に欠かせないのが「歯」ということになるのです。また、歯の白さ以外にも重要となることがあります。それは、「歯並び」です。歯並びが悪いと、美しいという印象は受けませんよね。
笑顔と歯並びについての調査
ここで、笑顔と歯並びについての調査結果が報告されていますので、以下に引用します。
「整った顔だちと素敵な笑顔、あなたはどちらに魅力を感じますか?」
こんな質問をされたら、あなたは何と答えますか。
2010年7月に全国の10代~50代の男女計1,000人を対象に実施された「全国1,000人意識調査」(日本臨床矯正歯科医会)では、7割近くの人が「異性の魅力は整った顔だちより笑顔にある」と回答。また7割以上の人が、素敵な笑顔のポイントは「歯並び」にあり、歯並びの良し悪しで第一印象が左右されると答えています。
(公益社団法人日本臨床矯正歯科医会ホームページより引用vol.07 矯正歯科治療、どこで受ければいいの?:トレンドウォッチ:本会の活動・ニュース|矯正歯科専門の開業医団体「日本臨床矯正歯科医会」 (jpao.jp)。)
また、同じく笑顔と歯並びの調査で、以下のような結果も報告されています。
調査結果から「笑顔」は「無表情」と比べ、“明るい”、“きれい”といった好印象を持たれるだけでなく、大きく笑うほど口元や歯が注目されることがわかりました。しかし、同じ笑顔の中でも「歯並びが悪い笑顔」は「歯並びが良い笑顔」の場合に比べ、口元や歯が長く見られる傾向にあり、且つ悪い印象を持たれているという結果になりました。
◆“表情”による口元や歯の見られ方
~ 笑いが大きいほど、口元や歯はよく見られる ~
「無表情」、歯並びが良い状態の「微笑み」、「大笑い」における口元や歯に対する視線の滞在時間を比較したところ、7 秒間中「無表情」は平均0.68 秒、「微笑み」は0.82 秒、「大笑い」は1.75 秒と、笑いが大きいほど、口元や歯はよく見られる傾向にあり、「無表情」に比べ「大笑い」は2.57 倍、口元や歯への視線の滞在時間が長いことがわかりました。
◆“歯並び”による口元や歯の見られ方
~ 歯並びが悪いと、笑顔は悪印象を与える ~
「大笑い」の表情の中でも“歯並びが悪い”状態と“歯並びが良い”状態における口元や歯に対する視線の滞在時間を比較したところ、“歯並びが悪い”状態は平均2.47 秒、“歯並びが良い”状態は1.75 秒と、口元に対する注目度が高い「大笑い」の中でも、特に“歯並びが悪い”状態は1.41 倍、視線の滞在時間が長い結果となりました。 加えて、それぞれの写真に対する印象評価のアンケートにおいて、「好き」、「きれい」、「快」等の項目の平均が“歯並びが良い”と“歯並びが悪い”とで開きがあったことからも、口元や歯が悪い印象で興味が高いということが考えられます。
矯正とホワイトニング
- 矯正装置が透明で目立たない。
- 発音を妨げにくい。
- 食事を楽しむことができる。
- ブラッシングなどの口腔内ケアを妨げない。
- 歯の動きを事前に確認できる。
- 他の歯への負担が少ない。
- 並行してホワイトニングを行うことができる。
適応できない症例があるなど、少しはデメリットがありますが、メリットのほうが多いです。
今回の話題に関して言えば、ホワイトニングを並行して行うことができるということが大きなメリットとなります。当医院では、インビザラインをご利用の方には、矯正しながらできるホームホワイトニングを付けております。また、それでは物足りないという方や、医院でホワイトニングをしたい方に対しては、新しいホワイトニングである、「スーパーポリリン酸ホワイトニング」を導入しておりますので、ご相談の上施術いたします。
※スーパーポリリン酸ホワイトニングについては、次回の記事でご説明いたします。(こちらの記事です安く、痛まず、歯を守る!最新のホワイトニングをご紹介します。 - 歯医者が教える予防のために今日からできること (eclatdental.com)。)
大人の矯正やインビザラインについての詳細は、当医院のこちらのページをご参照ください。https://www.eclat-orthodontic.dental/adult/index.html
さて、この矯正とホワイトニングで、「マスク美人」「マスクイケメン」とは言わせずに、「取っても美人」「取ってもイケメン」になることにかなり近づくことができると思います。
MFT(口腔筋機能療法)
ここでさらに、最初にあげた治療のひとつ、MFT(口腔筋機能療法)をすることによって、さらに魅力的な姿へとなっていきましょう。
MFT(口腔筋機能療法)という言葉は、ほとんどの方が聞いたことが無いのではないでしょうか。MFTとは、「 ORAL MYOFUNCTIONAL THERAPY:口腔筋機能療法」の略です。簡単に説明しますと、歯並びをとりまく筋肉の働きを整えるための治療法で、正しい舌の動きや正しい口まわりの筋肉の動きを覚えて習慣化し、正しく機能させるレッスン方法です。
このMFTでは、指しゃぶりなどによって生じた舌を前に出す癖や、口呼吸によって緩んでしまった口唇を、舌や口唇の筋肉を強くしてバランスよくし、正しく調和のとれた状態に改善することができます。
MFTの本来の目的は、矯正治療を補うというところにあります。口まわりの筋肉が弱く、バランスが悪くなってしまっている場合、舌で前歯が押されてしまい、前歯が開いている状態や出っ歯、反対咬合(受け口)などといった不正咬合を引き起こしてしまう可能性があります。
そして、このような舌癖をもったまま矯正治療を行っても、順調に治療が進まなかったり、後戻りしてしまう場合があるのです。そのため、矯正治療を成功させるためにMFTが必要とされ、併用されることが多いのです。
このように、矯正治療の併用手段、補助手段として行われるMFTですが、口のまわりの筋肉を動かすことから、小顔になるなどの美容効果があるということも報告されています。最初に引用した是枝先生の新しい美人の基準である顔の「下半分」のバランスを整えることにもつながってくるのです。そして、「取っても美人」「取ってもイケメン」へとより一層近づくことになるのです。
(MFTについての詳細は、以前に書いたこちらの記事をご参照ください。MFT(口腔筋機能療法)とは?MFTは歯並びや健康、生活に多くの良い影響を及ぼします! - 歯医者が教える予防のために今日からできること (eclatdental.com))
まとめ
さて、今回のお話はかなり長くなってしまいましたが、いかがだったでしょうか。最後に、簡単にまとめてみます。
マスク生活が長くなる中で、「マスク美人」「マスクイケメン」という、マスクをしていれば美しいけれど、いざマスクを取るとそうでもない。というマイナスイメージの言葉が出てきました。相手にそのようなことを言わせない、思わせないために、マスクの下に隠れていながら、印象に大きく影響する「口元」を整えましょう。そして、そのお手伝いができるのが歯医者であり、その方法は、ホワイトニング、矯正、MFT(口腔筋機能療法)ということなのです。これらの治療を受けることにより、皆さんも、「取っても美人」「取ってもイケメン」(「マスクを取っても美人」、「マスクを取ってもイケメン」から私が作った造語)になりましょう!